「ぜい肉をそぎ落とした」スポーティ仕様
1963年に誕生し、今年で60周年を迎えたポルシェ911。ベースのカレラにはじまりカレラS、ターボ、GTS、RRか4WDの駆動方式、またクーペ、カブリオレ、タルガなどのボディバリエーションの違いもあって、いまポルシェの公式ホームページを開くと、911のページには実に26ものバリエーションが存在する。
そうした中で現行ポルシェ911(タイプ992)に、新たに追加されたグレードがカレラTだ。この「T」は“ツーリング”を意味するもので、1968年に初代911へと設定されたことに端を発する。当時のツーリングカーレースへの参戦を念頭に、内装などを簡略化したレーシングカーのベース車ともいえるグレードだった。
最新の911Tは、そのコンセプトを受け継ぎ、現代的な解釈を加え「ぜい肉をそぎ落とした特にスポーティなセットアップ」仕様車であり、ベースのカレラとカレラSのあいだに位置するものだ。
エンジンはカレラと同じ最高出力385ps、最大トルク450Nmを発生する3リッター水平対向6気筒ツインターボを搭載。トランスミッションは8速PDK か、カレラには設定のない7速MTを選ぶことができる。
そして、遮音材とリアシートを省き(オプションで4座仕様も選択可)、軽量ガラスや軽量バッテリーを採用したことでダイエットに成功。GTスポーツステアリングホイールやスポーツシートプラスを標準装備。MT仕様車の車両重量は1470kgで、標準の911カレラ(PDK)よりも35kg軽い。カレラTのPDK仕様ではMT仕様に比べて+35kgとなるため標準車とは同じ重量となる。
エクステリアでの標準車との違いは、ロゴやデカールなどをのぞけば、ドアミラーカバーやリアリッドグリルのトリムストリップなどにダークグレーの配色を採用。フロントガラスは、最上部をグレーに着色しており、スポーツエグゾーストシステムのテールパイプは、ハイグロスブラックで塗装されている。
またフロントは20インチ、リアは21インチのチタニウムグレー カレラSホイールに、フロント245/35、リア305/30サイズのタイヤ(ピレリPゼロ)を装着。リミテッドスリップリアディファレンシャルを備えたポルシェ・トルク・ベタトリング(PTV)、スポーツクロノパッケージとPASMスポーツサスペンションをはじめ、スポーツエグゾーストシステムも標準装備となっている。