大人ゴコロをくすぐるフェラガモのトートバッグ

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ロングセラーの今を読み解く
ITALIAN LUXURY イタリアの贅沢名品

誰しも憧れるイタリアを代表するラグジュアリーブランドの名品。長く愛されてきたそれらの逸品が今、様々な進化を遂げている。ブランドの哲学を体現するアイコニックな名品たちの現在を覗いてみよう。

FERRAGAMO
フェラガモのトートバッグ

スターをも魅了したサルヴァトーレ・フェラガモ氏のDNAを色濃く受け継いだ新たなクリエイティブ ディレクターの作に注目したい。これは、同社の新たな象徴であり、後世に語り継がれる名品になるはずだ。

フェラガモのトートバッグ
鞄47万3000円(フェラガモ)

さり気ないガンチーニが大人ゴコロをくすぐる

2022年、新たなクリエイティブディレクターを発表する3日前、突如として発表された名称変更は、ビッグメゾン界の大きなニュースとなった。M.E.編集部では、それまでのエレガントで信頼できるフェラガモとは違ったものとなるのではないか……と、心配する向きもあったが、そんな考えを蹴り落とすかのような、素晴らしいコレクションが発表された。

オードリー・ヘップバーンやマリリン・モンローなど、数多くのスターの靴を手掛け、一躍有名となったフェラガモ。名称変更というブランドの改変期に就任した新たなクリエイティブ ディレクターのマクシミリアン・デイヴィスは、齢28歳のイギリス出身デザイナーだ。16世紀に使われていた神学校を改装した「ポートレート・ミラノ」という特別な場所でのショーが氏が手掛けるフェラガモの始まり。会場を真っ赤な砂で覆うという、インパクトのあるショーで世界のファッショニスタが大興奮したのは去年のこと。

2シーズン目となる今季は、初めての秋冬シーズンということもあり、全体的に洗練されつつも、テーラリングを核とした大人らしいコレクションとなっている。そんな中で、M.E.編集部が注目したのが、同社のアイコンをモチーフにしたトートバッグだ。若手ながら同ブランドの歴史やイタリアの伝統を重んじるという氏が手掛けるトートは、上質なカーフスエードを用いた美しいネイビーカラー。ブランド名の刻印も型押しに留め、あくまで上品に。そしてなんといっても、サイズダウンされたガンチーニが最大の特徴だ。

ガンチーニとは、イタリア語の「gancino」に由来し、1958年よりバッグに使われ始めたモチーフであり、今日まで同社の象徴的なデザインとなっている。それを氏は、わかる人にはわかる“さりげなさ”で同ブランドらしいエレガンスを体現したのだ。また、週末のドライブから出張までもこなせるサイズ感(縦33×横45×マチ22㎝)ながら、接合部が美しすぎる(撮影時スタッフ一同で感動)ショートハンドルというバランスもまた、絶妙。勿論、重さが気になる場合は、トップにあるリングに付属のストラップをつけて、肩掛けと斜め掛けができる優れものだ。

フェラガモのトートバッグ
トップはファスナーが施され、セキュリティも◎。また、しっかりと閉じることでシルエットが崩れないように設計されている。

これらの“実用性と上質な作り”、そして“さり気ない主張”の妙こそ、同社の考えるエレガンスであり、これまでも、これからも同社が愛されてきた所以ではないだろうか。

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[MEN’S EX Autumn 2023の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
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