[IWC]新インヂュニア、誕生までの軌跡
![[IWC]新インヂュニア](https://www.mens-ex.jp/wp/wp-content/uploads/2023/07/c_watch_230817_iwc_01.jpg)
2023年4月、ジュネーヴで開催されたウォッチズ&ワンダーズでIWCからインヂュニアの新作「インヂュニア・オートマティック 40」が発表された。実は編集部はそれよりも一足先に行われたグローバルイベントに参加。関係者たちから得た新作誕生までの軌跡をご紹介しよう。
こちらがジェラルド・ジェンタがデザインした初代インヂュニア SL

1976年に発売されたインヂュニア SLはIWCからの依頼で、ジェラルド・ジェンタがデザインを担当。5個の凹みのあるベゼル、市松模様のようなダイヤル、一体型ブレスというデザインはインヂュニアの「顔」となった。

ジェンタデザインを超えた、新たなインヂュニアとは
1955年、強力な磁場にさらされる「エンジニア」のために開発された「インヂュニア」。この高耐磁性腕時計は、IWCの技術力の高さの証明でもあった。そして、1970年代にジェラルド・ジェンタによってインヂュニアは、さらなる進化を遂げる。
「5個の凹みのあるねじ込み式ベゼル、格子模様の文字盤、H型リンクを組み込んだ一体型ブレスレットという “顔” がジェンタによってこの時計に与えられたのです」と話すのはIWCのクリスチャン・クヌープ氏。

クリスチャン・クヌープ氏
(IWCチーフ・デザイン・オフィサー)
2008年にIWCに参画。「インヂュニア SLはブランドを象徴するモデルです。ジェンタが生み出した美しいデザインをどう超えるか、デザイナーとして今回の新作製作は大きな挑戦でもありました」
ラグジュアリースポーツウォッチが人気を博す昨今、ジェンタデザインの時計もますます垂涎の的となっている。だが、今回の新作製作に際しては、“単なるリメイク” にはしたくなかったと氏は語る。
「インヂュニア SLのデザイン的な美しさは言うまでもありません。しかし、あえて、我々はそこに現代的な解釈を加えたいと思いました。そこで、人間工学に基づいたフォルムを採用しフィット感を向上させました。さらに、細部の仕上げ、ケース全体の寸法の見直しを繰り返し行い、ようやく今回のインヂュニア・オートマティック40が誕生したのです」。
デザイン面では、SLのグリッドデザインを踏襲しつつ、IWCのロゴを引き立たせるよう、細部まで計算。また、SLはベゼルがねじ込みタイプだったがゆえに、個体によってビスの向きが違うという難点もあった。本作では、多角形ネジでベゼルをケースに固定することで、ネジの向きも揃い、シンメトリーな美しさを叶える。巨匠のDNAを継承しながらも、現代的な美意識のもと進化を遂げたインヂュニア。細部にIWCという時計ブランドの矜持を宿した、まさに現代のラグジュアリースポーツウォッチの到達点といえよう。
サイズ感もちょうどいい!

初代インヂュニア SLがノーズ型のラグを採用していたのに対し、新作(ページトップの4モデル)はミドルリンク・アタッチメントを備え、手首のフィット感が向上。ケースリング全体もカーブしている。ダイヤルは軟鉄製のブランク材にプレス加工して、電気メッキを施している。軟鉄製のインナーケースを採用し、耐磁性も堅持。

ブラック、ホワイト、アクア(グリーンとブルーの中間色)ダイヤルはSSケース&ブレスレット。各162万8000円。グレーダイヤルはグレード5のチタンケース&ブレスレット。203万5000円。いずれも径40mm。厚さ10.8mm。10気圧防水。自動巻き。ブティック限定。(IWC)
2023年3月、世界中のジャーナリストがロンドンに集結

ジェラルド・ジェンタってどんな人だった?
エヴリーン・ジェンタさん
公私共にジェラルド・ジェンタの長年のパートナーであったエヴリーンさんは以下のように語る。「彼は朝、起きた瞬間からアイディアが湧く人でした。自然、建築など身の回りにあるすべてのカタチや色が発想の源でした。そして常に新しいデザインを生み出したいと思っている人でした」。現在、エヴリーンさんが代表を務めるジェラルド・ジェンタ継承協会には、4000枚近いデッサンが保管されている。
※表示価格は税込み