SUITS OF THE YEAR 2022
アート&カルチャー部門
子供の頃からの目標だった4大ミュージカルへの出演を20代で叶え、その後TVドラマ、映画、声優、歌手、MCと活躍の場を拡大。全国ツアーのコンサートでは幅広い層を集客している。飽くなきチャレンジを讃えて本部門賞を授与する。
マルチに活躍するミュージカル界のプリンス
ミュージカル俳優・俳優・歌手・司会者
山崎育三郎
山崎育三郎(やまざき・いくさぶろう)
1986年東京生まれ。幼い頃から歌を学び、12歳でミュージカルに初主演。高校時代には米国に留学。ミュージカル『レ・ミゼラブル』マリウス役に抜擢。以後、俳優・声優・歌手・番組MCとマルチに活躍。映画『イチケイのカラス』(1/13)、「THIS IS IKU 2023」(3/21)、ミュージカル『ファインディング・ネバーランド』(2023年5月〜)に出演。
“怖いと思うところは自分が大きく成長するチャンス”
立ち姿、歩く姿がとても美しい。すっと背筋が伸び、スーツのシルエットが綺麗に出ている。
「衣装が美しく見える姿勢を叩き込まれているんです。姿勢が悪いと背中に棒を入れられましたから」
スーツの生地は、グレーベースに千鳥格子を配した英国製フランネル。年齢を重ねてこういうクラシックな生地がようやくしっくりくるようになったと山崎育三郎さんは笑う。
現在36歳。20代で『レ・ミゼラブル』『モーツァルト!』『ミス・サイゴン』『エリザベート』の4大作品全てに主要な役柄で出演。“ミュージカル界のプリンス”の名をほしいままにしていた。一方、ミュージカルは日本のエンタメ世界の中で少し孤立した場所にあると感じていた。
「たとえば僕が街を歩いていても声をかけられることはない。友達を観においでと誘っても“ミュージカルはわからないからいい”と断られる(笑)。何か新しい挑戦をしない限り、皆さんにとって身近なエンタメにならないなと考えたんです」
そこで30代を挑戦の期間と位置付け、テレビの仕事を積極的に引き受けるように。ミュージカル界を盛り上げたいとの思いからだったが、最初にドラマの仕事をする際にミュージカルの仕事を一旦ゼロにした。
「ようやく主役をやらせていただけるようになったのですが、日程的に両立は無理で。育三郎、大丈夫か?なんて仲間には相当心配されました。でもボクには、“怖いところにしか成長はない”という信念があって」
そう思うようになったのは、留学時代の経験からだ。留学先はアメリカの片田舎の高校で、アジア人生徒は彼一人。最初は相当いじめられた。その状況を打破するため高校のダンスパーティに一人で参加。たくさんの生徒が踊る真ん中で得意のダンスを披露したところ、会場中が沸き、その日を境に一気に人気者となった。
「あれが原点。すごく怖かったけれど、あそこで勇気を出して一歩踏み出したから今のボクがある」
テレビ進出時の目標だった朝ドラと大河ドラマの出演も果たし、番組MC、映画、声優、ラジオ、コンサート活動と、今ややっていないエンタメ領域はないほど仕事の幅が広がった。彼のおかげでミュージカルに興味を持った人も相当多いはずだ。そんな彼の次の挑戦はなんだろう。
「日本オリジナルのミュージカル作品を作りたいですね。舞台でも映画でもどちらでも。それによって若い世代がミュージカルの世界に強い憧れを抱くような作品を。若い人が学ぶ環境も整えたい。ミュージカルで育ったので、恩返しです」
「山崎さんにとってのスーツとは?」
相手への敬意を示すものにして等身大の自分を映し出す鏡
BEAMS F(ビームスF)
ブリティッシュムード香るモダンで都会的な1着
美しく、快適な着用感を叶える立体パターンが魅力のビームスFのスーツ。時代に合わせてアップデートしているのも特徴で、今季から腕の可動域を増やしたほか、袖口ラインなども微修正。千鳥格子柄を配した英国フォックス・ブラザーズ社のフランネルと相まって、モダンな英国スタイルが築ける。
※表示価格は税込み
[MEN’S EX Winter 2023の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)