複雑なことを美しく魅せる時計
パルミジャーニ・フルリエの「トンダ PF マイクロローター」
見る人が見ればわかる控えめながら確かな上質感
プラチナ製ベゼルを纏った薄型のシンプルかつラグジュアリーな2針モデルだ。自動巻き。SSケース&ブレスレット。ケース径40mm。パワーリザーブは48時間。311万3000円(パルミジャーニ・フルリエ)
田上 ユニークながら、高度な技術力を背景に作られた精緻なコレクションにも定評があるブランドですから、新作を心待ちにしている時計愛好家も少なくないはずです。
中村 確かに。この最もベーシックな2針モデルも、まさに引き込まれるような魅力を備えた逸品だよね。
田上 まず初めに気がつくのはダイヤルに文字がないこと。12時位置のPFのロゴを除いて、文字やブランド名、数字などが一切ありません。
中村 そう。これは、シリーズ共通の意匠を調和させ、ピュアな美しさだけを体現した究極のモデルなんだ。
田上 そして、パルミジャーニらしいディテールの美しさも健在ですね。
中村 段差部に配されたインデックスやスケルトン針など、これ見よがしではない表現力が実に秀逸。グレーカラーにマットなギョーシェ彫りの、すっきりとしたダイヤルが、潔い美しさを纏っているよね。時計全体をモノトーンにまとめ上げたセンスも、ラグジュアリーな雰囲気。
田上 知的でアクティブな印象を醸し出しながら、ドレッシーさもある。これなら、どんなスタイルにも合わせやすいと思います。
中村 シースルーバックからのぞくマイクロローターを組み込んだ自社製自動巻きのムーブメントを存分に愉しめるから、時計愛好家も満足してくれるはず。しかも、このローターはプラチナ製だというから驚き。
田上 それは、なんとも贅沢ですね。
中村 自らの個性を研ぎ澄ませながら、吟味されたパーツだけで構成された、引き算の美学が宿る名品だね。
話したのはこの2人
田上雅人(副編集長)
2023年の目標は海外渡航。時計の聖地スイスは無論のこと、仏やイタリアのワイン産地が恋しい、今日この頃。
中村重樹(時計担当)
仕事服がカジュアルに傾倒していくなかで個人的に悩ましいのが、手持ちの腕時計とのミスマッチ感。
Brand HistoryPARMIGIANI FLEURIER(パルミジャーニ・フルリエ)
天才時計師ミシェル・パルミジャーニによって1996年に創業。早い段階でマニュファクチュール化を果たしており、ムーブメントをはじめとした機械式時計の自社製造にはこだわりを持つ。
お問い合わせ先
パルミジャーニ・フルリエ https://parmigiani.com/ja/
[MEN’S EX Autumn 2022の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
※表示価格は税込み