京都のクラフト魂を宿す酒造りの名手たち
伝統ある食文化、そしてクラフツマンシップ。それらを守るだけではなく、挑戦も大事にする風土を京都は持っている。京都に根差し、新たなスタイルのお酒を提案する造り手を紹介しよう。
コハチビアワークス
自然と人との脈動が感じられるクラフトビール

丹後半島東南部の山間にある小さな集落、上世屋で、ベルギー人と日本人の夫婦、コードロン・ジュリアンさん&展子さんが始めたクラフトビール工房。この地の自然や風土と人が循環する、素朴で豊かな暮らしに魅せられて2019年秋に移住し、’22年冬からベルギーの実家でのビール醸造経験を生かしたビール造りに取り組んでいる。


水は山水、素材は近くの森で採取した杉や檜、伊根の向井酒造の酒粕、地元の有機栽培小麦や古代米などを用い、丹後の生産者や村の人とコラボレーションしながら定番と季節限定のビールを製造。
この土地ならではの優しさと力強さが織りなすピュアな香りや味わいが感じられ、丹後の恵みとベルギービールの伝統の味を四季折々に楽しめる。オンラインショップで購入可能だ。
コハチビアワークス
住所:京都府宮津市上世屋482
TEL:050-5532-5021
見学については要問合せ
丹波ワイナリー
京料理と抜群のマリアージュを叶えるワイン造り

京都初のワイナリーとして1979年に誕生した丹波ワイン。美しい里山に囲まれ、水にも恵まれた京丹波の地で設立当初より、京都の食文化に合うワイン造りを目指してきた。繊細な京料理に合うよう、個性の強い品種をより濃く造るのではなく、雑味の少ないワインを基本スタイルとしている。


近年では、シャンパーニュ製法で造る発泡性ワインを手掛けるなど、商品のラインナップは広がっている。ワイナリー内には京丹波の野菜をふんだんにつかったレストランも併設し、食の地産地消を提案する。

さらに、持続可能なワイン造りを目指し、地元農家との連携や環境負荷の少ないワイン造りを行っているのも特徴だ。日本ワインの先駆として、日本食とワインの楽しみ方、そして未来を見据えたワイン造りをぜひ現地で体感してほしい。
丹波ワイナリー
住所:京都府船井郡京丹波町豊田鳥居野96
TEL:0771-82-2003
〈ワイナリーツアー・レストラン〉
ワイナリーツアー〈参加費1000円〉は土日祝日の11時~、14時~の2回開催
※3日前までに要予約
京都蒸溜所
和のボタニカルの繊細さを生かしたプレミアムジン

日本のクラフトジンの先駆けとして知られる京都蒸溜所の「季の美 京都ドライジン」。伏見の伏流水をはじめ、山椒や宇治の茶葉、柚子や笹の葉など、京都にゆかりのある素材を中心に使った6つの原酒をブレンドするという独特の製法でジン造りを行っているのが特徴だ。


京都らしいクラフツマンシップを体現した繊細かつ複雑な味わいのプレミアムジンメーカーとして今や、世界中にファンを拡大している。2020年には初のブランドハウス「季の美House」を京都市役所の近くにオープン。

ここだけの限定品も揃う酒販店やバーがあり、「季の美」のジン造りへのこだわり解説や、テイスティングセミナーなども開催。
京都らしい雅な空間で、カクテルを愉しみながら「季の美」の世界に浸ってほしい。
京都蒸溜所
京都市中京区河原町通二条上る清水町358
TEL 075-223-0457
営業時間:〈水、木、日曜〉12時~21時(L.O20時30分)、〈金・土〉12時~22時(L.O 21時30分)
定休日:月、火曜
※表示価格は税込み
[MEN’S EX Winter 2023の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)