最も身近な複雑時計であり、デザイン性も高く、メカ好きからファッション好きまでを魅了するクロノグラフ。そんなクロノグラフ180本を紹介するバイヤーズガイド『超本格クロノグラフ大全』から、その中身をピックアップしてご紹介。
【注目のクロノグラフ】
103.B.SA.AUTO
SINN(ジン)

ブランド創業当時から50年以上続く名作パイロットクロノグラフ
ジンの創業は1961年。ドイツ軍パイロットで飛行教官でもあったヘルムート・ジンが、ドイツ・フランクフルトでパイロット用の時計作りをスタートした。同社が製作するパイロットウォッチは、航空機に搭載する機器に近い作りの高機能かつ実用的な製品だったことから、プロフェッショナル・パイロットを中心に広く使用されるようになっていく。なかでも初期の代表作となるのが、’60年代にドイツ空軍に制式採用された「155」。ミリタリーのプロが認めたこのパイロットクロノは、その後「103」へと引き継がれ、ムーブメントや素材、仕様などを進化させながら50年以上にわたって継続され、現在もラインナップされる。
現行の103は、オリジナルを受け継ぐシンプルで視認性のよいブラック文字盤を備え、優れた計時精度を発揮するクロノグラフだ。60分計を配した両方向回転式のブラックベゼルは、特殊結合方式を採用する。このベゼルは一般的なはめ込み式とは違い、特殊技法でケースに密着されているため、強い衝撃を受けても外れることがない。
また、本作では数多くあるジンの独自技術のうち「Arドライテクノロジー」を取り入れている。これはドライカプセル、EDRパッキン、プロテクトガスという3つの要素からなる技術で、なかでもケースサイドの7時位置にセットされたドライカプセルが重要な役割を果たす。このカプセルには特殊乾燥剤が充填されており、ケース内の水蒸気を吸収することで湿気を除去。これによりムーブメントパーツの潤滑オイルが劣化することを防ぎ、機械式時計の精度を保つのである。
なお、同デザインで、アルミベゼルと強化アクリル風防を搭載し、スペックを抑えた103.B.AUTO(38万5000円)もあり、よりクラシックな雰囲気で、コストパフォーマンスの高いモデルとなっている。
スイスのムーブメーカーConceptoのC99001を搭載
このモデルでは、2006年に設立されたスイスのムーブメントメーカーCONCEPTO社のCal.C99001を採用。実用に優れた高品質ムーブがシースルーバック越しに観賞できる。
