職人たちの超絶技巧を覗き見る……
技巧① コバ塗り
根気のいる作業が鞄のグレード感を高めるポイントに
革の切断面の保護と美観アップのため、断面を磨いて滑らかにした後に、水溶性のニスを塗り重ねていく工程。乾いたら磨き、再度ニス塗りという根気のいる作業を幾度も繰り返し、美しく艶やかなコバが完成する。革の種類により塗り分けたり、はみ出さないように塗るのにも高度な技術を要する。
技巧② 手裁ち
イメージしたライン通りに手技でスパッと裁断
サンプルや小ロットの鞄を作成するときは機械に頼ることなく、型紙に合わせて職人が裁ち包丁を使って革を裁断していく。ときには革の傷やクセ、取り都合なども判断しながら裁たねばならず、経験値が求められる。なお裁ち包丁は職人それぞれが常に手入れをして切れ味鋭く研がれている。
技巧③ 張り込み
鞄のフォルムを決定する重要な工程
鞄を縫製する前に、革と芯材、内装生地を貼り合わせながら成形していく工程。靴で言えば吊り込みの工程に当たるものだ。平面部分を立体的に成形したりコーナー部分の革を寄せたりと、高度な技術が要求される。ここをしっかりしておかないと縫製は決して美しく仕上がらない。
職人 和地康晃さん
職人歴26年。サンプル製作と製造ラインの責任者。商品企画を具現化するため、モノづくりの現場にて的確な指示を出す司令塔。「日本かばん技術創作コンクール第一部門」優勝、「経済産業大臣賞」受賞。
職人 清水健二さん
職人歴39年。サンプル製作チーフを務め、多くの新商品開発に携わっている。ソフトタイプの難しいフォルムの商品製作を得意とする頭脳派職人。「大阪かばん創作技術コンクール近畿経済産業局長賞」受賞。
職人 槇山勝士さん
職人歴18年。製造ラインからサンプル製作まで多くの現場で活躍する実力派の中堅。名巧シリーズの製作には特に欠かせない存在。「大阪かばん創作技術コンクール新人最優秀作品賞」受賞。