マイチェンしたルノー メガーヌR.S.トロフィー。待望のMT仕様に試乗してみた

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メガーヌ ルノー・スポール トロフィー

よりサーキット走行に寄せたセッティングにMTを用意

いよいよ代わりの利かない1台になったというか、その到達点の高みに恐れ入った。電動化もしくは、2030~45年にガソリンエンジン廃止Xデーといった話題がかまびすしい昨今、先に言ったもの勝ちの作り手側に、かりそめの未来感を青田買いしたがるユーザー側という構図が固定した今、FFホットハッチのMT(マニュアル・トランスミッション)がどれだけ貴重な選択肢か、唸ってしまった。

ルノー・スポール
こちらはベーシックグレードのルノー・スポール。

今回、試乗してきたメガーヌ ルノー・スポール トロフィー(以下メガーヌR.S.トロフィー)は今年マイナーチェンジを迎え、日本ではAT仕様が先行展開していたが、本命といえる6速MT仕様が夏より上陸。

メガーヌR.S.の通常モデルは「シャシー・スポール」と呼ばれるセッティングだが、トロフィー仕様は「シャシー・カップ」といって、サスペンションのダンパーレートが35%、スプリングレートが前/後それぞれ23%/35%、さらに前アンチロールバー剛性も7%高められている。細かいことをいえば、前輪のハブもアルミ製で、シャシー・スポールより片側1.8㎏ほど軽いばかりか放熱性にも優れるなど、ハードな制動にもより耐える仕様となっている。

加えて加速時に駆動輪の空転を抑えるトルセンLSDをも備える点も、トロフィーの特徴だ。要は、よりサーキット走行に寄せたセッティングなのだが、いざ乗ってみると、それだけに終わらない1台だった。

メガーヌ ルノー・スポール トロフィー
ラインナップはベーシックグレード(464万円)、ハイパフォーマンスバージョンのトロフィー EDC(504万円)とトロフィー MT(494万円)となる。

まず外観、従来の前期モデルとの違いは、前後のLEDランプの意匠がやや変更されたこと。ヘッドランプに「まつ毛」が追加され、グリル中央の「ロザンジュ(菱形)」と呼ばれるルノーのロゴが、フラッシュサーフェス処理となった。またリアコンビランプは凹部のないツルリとした形状となり、ウィンカーはシーケンシャルタイプに。ドアハンドルにウェルカムランプを備えた。

メガーヌ ルノー・スポール トロフィー インテリア
MTモデルのインテリア。トロフィーにはコーナリングスピード向上を目的にロールを抑えたシャーシーを採用。トルセンLSDなどが備わる。

インテリアについては、スポーティなトリムとはいえフランス車らしい柔らかな包まれ感を残しつつ、丹念な仕上がりとなっている。

メガーヌ ルノー・スポール トロフィー シート
ベーシックグレードにはアルカンターラのスポーツシートを装着。トロフィーはフロントに専用のレカロ製バケットシートが備わる。

トロフィー専用のレカロ製バケットシートはアルカンタラ張りで、身体全体を面で支えるようなサポートが心地よい。ダッシュボード中央の、クロームリングをあしらったエアコンの3連ダイヤルも、今どきこのセグメントでは珍しい高級感のある細部といえる。またマイナーチェンジによって、センターコンソール後端にリアシート用のUSBポート×2が備わった。

メガーヌ ルノー・スポール トロフィー コックピット

だがコクピット周りで顕著な変更は、MT仕様であるにもかかわらず、アダプティブクルーズコントロール(ACC)を含むADAS機能が刷新された点だ。静止時にクラッチを切る必要上、渋滞時などで自動的に再発進する機能こそ省かれているが、交通量の少ない道路での巡航には便利なACCはついているのだ。

もちろん車速が低速~高速へと極端に変化する状況ではシフトダウン/アップが必要なものの、高速道路やバイパスでは5~6速固定でほぼ問題ないほど、スムーズなエンジンあっての装備といえる。いわばMTなのに、楽できるところは楽させてくれるのだ。ちなみにルノー・スポール得意のローンチコントロール、つまりゼロ発進時の加速を最大化する機能も、クラッチを上げるタイミングはドライバーの操作とはいえ、MT車に今回初めて採用された。

メガーヌ ルノー・スポール トロフィー エンジン
1.8リッター直4ターボエンジンを搭載。0-100km/h加速は5.7秒とされた。ターボタービンの軸受けには、フリクションロスを低減させるセラミックボールベアリングが用いられている。(写真はベーシックグレード)

パワートレインに目を向けてみよう。1.8リッター直噴ターボで300psという最大出力は2ペダル仕様と同じだが、クラッチ容量の関係で最大トルクは2ペダルの420Nmに対し400Nmに抑えられている。だがギア比も微妙に変えられており、加速感でATに劣るところはまるでない。それどころかMTであるがゆえ、左手と左足をも動かして積極的に操っている分、ダイレクト感は上手を行く。

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