大人の日常生活は、微妙なピンチの連続です。適切な言い訳を繰り出して、自分を守りつつ周囲のストレスを最小限に抑えましょう。
今月のテーマ
ミュートを忘れて、失礼な発言を取引先に聞かれた……
今日もリモートで、取引先の担当者数人と打ち合わせ。パソコンに向かって話すのも、すっかり慣れっこです。
ところが、それが命取り。音声をミュートに設定しているつもりで、部屋の外の妻に大声で「もうすぐ終わるから、ウーバー頼んどいて」と叫んでしまいました。さらに、独り言で「どうでもいいから、さっさと決めちゃおうよ」という暴言まで……。
相手のひとりに「お急ぎのようですね」と言われた瞬間、ミュートになっていなかったことに気付いて、全身の血の気が引きました。極めて失礼な独り言も、確実に聞かれています。さて、どんな言い訳で切り抜けるか……。
まず大切なのは、不測のアクシデントだったことを強調すること。そうじゃないとしたら、かなり尊大で傲慢な人になってしまいます。
「えっ、あっ、うわー、どうしよー!」
などと言いながら、両手で顔を覆ったり頭をかきむしったりパソコンを揺らしたりしましょう。続けて、振り絞るような声で、「た、たいへん失礼いたしました。き、聞かなかったことにしてください……」
と懇願します。さらに、見え見えを承知の上で「どうでもいいというのは、ウーバーで頼むメニューのことで……」と弁解したり、目を泳がせて「まさにリモートの落とし穴だなあ……」と呟いたりしておきましょう。
かなり恥ずかしい姿ですが、激しい失態を埋め合わせるには、十分に恥をかくしかありません。ここまでやれば、相手側も「まあ、お互い様だし」と大目に見てくれるはずです。
言い訳の極意
激しくうろたえて
恥ずかしい姿を体全体で
念入りに見せつける──
それもまた言い訳なり
[MEN’S EX 2021年7月号DIGITAL Editionの記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
※表示価格は税込み。