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「プロゴルファーは握るものに敏感なんです」(丸山さん)

プロゴルファーは握るのも敏感なんです_丸山さん

乾燥? それとも汗っかき? リレーバトンの感触やいかに

丸山 朝原さんといえば、銀メダルを獲得した北京五輪の400メートルリレーが印象的ですが、北京五輪に臨むにあたって習慣化されていたことはありますか?

朝原 当時は36歳で、陸上人生の集大成として臨んだ五輪だったので、ピーキングには命をかけていましたね。若いときは短いスパンで調整できましたが、北京五輪では2ヶ前から練習プランを組み立てました。

丸山 シビアですね。

朝原 それには若い頃から10年以上つけていたノートが役立ちました。一日経つと身体は変わってしまうので、感覚を翌日に引き継ぎながら徐々に尖らせることをしていましたね。

丸山 真面目だなあ。僕はペンなど持ったことはないですよ、スコアカードを書く以外は。

朝原 ゴルフでは4日間もプレーが続きますよね。体調はどのように整えていらっしゃるんですか?

丸山 僕は2ヶ月前ではないにしろ、しっかりウォーミングアップして試合に望んでいました。なかには5回ぐらい素振りしただけでスタートする強者もいましたが。

朝原 本当ですか(笑)。

丸山 アメリカツアー時代は、タイガー・ウッズが一抱え程もあるダイエットコークを飲んでいたのが格好良くて、真似たりもしましたね。

朝原 そこは一応ダイエットなんですね(笑)。

丸山 最近はプロゴルファーのアスリート化が著しくて、ドリンクも水が一般的になりました。北京五輪では、日本の独特なバトンパスも話題になりましたよね。

朝原 下から渡すアンダーハンドパスのことですね。あれを採用しているのは日本とフランスの2ヶ国だけ。世界的には上から渡すオーバーハンドパスが主流です。

丸山 バトンはつるつるしているように見えますが、何でできているんですか? 

朝原 北京五輪ではアルミ製でしたが、滑って落とすようなことはありませんね。

丸山 なるほど。僕らプロゴルファーは、グリップの感覚がとても気になるんです。手が乾燥するか、汗かっきかで素材も異なりますし、毎日新しいものに取り替える人もいるんですよ。

朝原 すごい! バトンの感触について聞かれたのは初めてです。僕は最終走者だったので、じっくり見る機会はなかったですね。



「バトンのフィーリング!? その質問は初めてです」(朝原さん)

バトンのフィーリング!?その質問は初めてです_朝原さん

丸山 ゴールしてメダルが確定した瞬間、朝原さんがバトンを空に投げたシーンは最高に格好良かったですね。

朝原 あれは教育上、よろしくないですね(苦笑)。僕らの時代は短距離走で日本人が決勝に残るのは難しい時代でした。でも、今は僕が目指していた100メートル10秒台の壁を破った日本人は、桐生祥秀選手をはじめ3人います。世界の頂点を狙える本物志向の若い選手が増えてきているんです。彼らはSNSで繋がっていて上下関係もなくフラットな関係ですが、試合では良きライバルになる。新しい風が吹いているのを感じます。

丸山 確かに先輩が根性論をふりかざすような僕らの時代とは違いますよね。

朝原 そうやって陸上界が発展しつつあるのは、僕にとっても喜ばしいことです。

丸山 先日マスターズで優勝した松山英樹プロしかり、日本でも世界に羽ばたく若者が増えているんですね。

朝原 僕はニュースを観た程度ですが、日本人のマスターズの優勝はどれ程すごいことなんですか?

丸山 例えるなら100メートルでウサイン・ボルトを抜いて、日本人が金メダルを獲るようなものですね。英樹が表彰式で珍しく感情をあらわにしてガッツポーズしたときは、胸に迫るものがありました。その後、マスターズチャンピオンは、1週間程ソファでゴロゴロして過ごしたそうですよ。

朝原 きっと全てを使い果たしたんでしょうね。

後編に続く

[MEN’S EX 2021年7月号DIGITAL Editionの記事を再構成]
(スタッフクレジットは本誌に記載)

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