街中ではエレガントに、ワインディングではスリリングに
果たして、新型ローマの乗り味はまるでジキルとハイドであった。
街中をクルーズするような場面では、優雅なスタイリングそのままに洗練されたラグジュアリークーペらしい走りに徹する。ソリッドながらしっかりと弾性の利いた乗り心地で、快適である。扱いやすく、毎日でも乗りたい気分にさせる。乗り手を気遣う優しい馬だ。
ところがひとたび、ワインディングロードにでも繰り出して、マネッティーノ(ドライブモードセレクター)をコンフォートからスポーツ、もしくはレースにチェンジするとローマは豹変した。自ら意思を持って曲がっていくような凄まじくシャープなハンドリングで、そのあまりのアジャイルさに怖くなってしまう。そのうえ低回転域からモリモリと湧き出るトルクに背中を押しまくられるのだからスリリングだ。
怖気づいている暇などない。3000回転を超えたあたりから迫力を増すエグゾーストノートに乗せられて高回転まで回すと、強大かつ精緻なパワーフィールがめくるめく快感となってドライバーを虜にした。こうなればもう、野生の悍馬である。
なるほどローマは、ひけらかさないラグジュアリーなドレスを纏い、その気になればレーシングドライバーの気分を味わわせてくれる、上質なGTカーなのだった。
文/西川淳 写真/橋本玲 編集/iconic






