マイルドハイブリッドでラージサイズでも軽やかな走り出し
試乗車はスポーティグレードの「Q7 55 TFSI クワトロ Sライン」だった。
パワートレインは3リッターV6ターボエンジンに48V電源とマイルドハイブリッド(MHEV)ドライブシステムを組み合わせたものだ。最高出力340ps、最大トルク500Nmを発揮。トランスミッションは 8速ATで、クワトロ(フルタイム4WD)は、機械式センターディファレンシャルを搭載する本格仕様だ。通常走行時は前後40:60と後輪に多くのトルク配分することで軽快なハンドリング特性を実現。路面状況などに応じてトルク配分を前後70:30から15:85へと可変することでスタビリティ性を高めている。
全長5065m、全幅1970mm、全高1705mm、車両重量2160kgというなかなかのラージサイズだが、電動アシストの恩恵もあってか軽やかに走り出す。そして、高速走行時には、積極的にコースティングを行い燃費を抑制する仕様になっていた。カタログ燃費(WLTC モード)は9.3 km/Lだが、高速メインであれば10km/Lは優に超えそうだ。
Q7の足回りは、オーソドックスなスプリングサス仕様とエアサスペンション仕様があるが、Sラインの足回りは、エアサスをよりスポーティにチューニングしたアダプティブエアサスペンションスポーツを標準装備している。車高が15mm低くなり、タイヤは標準で20インチサイズを採用。試乗車はオプションの21インチを装着していた。エアサスの効果は絶大でこの大径タイヤもしっかりと履きこなしていた。走行モードは街乗りでは“コンフォート”がいい。ゆったりとした乗り味で、高級感がある。
またベース車の乗車定員は5名だが、試乗車は7人乗り3列シート仕様となるオプションの7シーターパッケージを装備していた。2列目には、個別にシートスライドとリクライニングが可能な独立した3人分のシートを設定し、サードシートは2座で電動格納式となる。2列目をスライドして融通し合えば、長距離ドライブでなければ3列目シートに大人が座ることも可能だ。ラゲッジ容量は、サードシートを格納した状態で770リッター、セカンドシートも格納すれば1955リッターとなる。
ADAS(先進運転支援システム)も最新世代のものへとアップデイトされている。特徴的な機能としては、走行中にドライバーの異常を検知した際、システムがドライバーに注意を促すとともに、ドライバーからの反応がない場合には車線を維持しながら車両を緩やかに減速、停止するエマージェンシーアシストを搭載。また、車両の前後だけでなくタイヤ周辺の状況を3Dビューにより確認可能で、駐車などの際にホイールを縁石などにぶつけることを防止するカーブストーンアシストなども採用している。
いまアウディの上級SUVにはQ7、Q8さらにピュアEVのe-tronと魅力的なモデルが揃っている。そうしたなかでQ7の最大の特長はやはり3列シート7人乗り仕様が選べること、ということになる。ロングドライブも悪路も難なくこなす、プレミアムファミリーカーというわけだ。
文/藤野太一 写真/茂呂幸正 編集/iconic