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喉に刺さる小骨のようにどこか心に引っかかってくれたら

──事件を起こす者、事件に翻弄される者、事件を追う者、それぞれの役割が巧妙にスピーディーに切り替わっていく展開は、まさに予測不能で、最後まで気が抜けませんでした。佐藤さん、石田さん、西島さんは劇中でとりわけ重要な役回りを演じられていますが、まずは作品に対するファーストインプレッションと実際に映画をご覧になった感想をお聞かせください。

石田  原作、脚本を読んで撮影に挑んだんですけど、想像してもしきれないというか、あまりにスケールが大きくて重たくて、これが映像になったらどうなるんだろうと思いながら撮影をしていました。浩市さんとご一緒するシーンは多かったのですが、西島さんとはクライマックスだけでしたよね?

西島  はい。そうです。

石田  そういう感じで、とにかく出来上がってみないと分からない映画だったので、試写で観たときはびっくりして、爆破するシーンは本当に怖くて気絶しそうになりました(笑)。今はコロナ禍の中でこういう時代になってしまいましたけど、この作品を撮っているときはまだまだそんなことはなくて、エキストラの方たちも問題なく集まっていただくことができました。その後、自粛の日々になって、まさに本当のサイレント・トーキョーになっちゃって。4月とか5月のあの静かな東京を見たときに現実のほうが怖いなと思いました。なので、この映画が今どんなふうに皆さんに受け入れられるのか正直分からないです。むしろ皆さんがどう思ったかを聞きたいなと思っています。

佐藤  原作と脚本ではちょっと設定が変わっているんですよ。映像化するにあたって作品をどう成立させるかということを制作サイドは随分悩まれたんだろうなと思います。結果的に99分という時間にまとめて、ノンストップなエンターテインメントに振り切ったわけですが、その中には現代社会に向けたメッセージも描かれているので、観終わった後は喉に刺さった小骨のようにどこか心に引っかかってくれたらいいなという思いはあります。あと、僕は参加してないんだけど、渋谷のスクランブル交差点の巨大オープンセット。これは今までの日本映画の中でも相当なレベルだと思うので、そのあたりも楽しみに観てもらいたいですね。

西島  僕もやっぱり脚本を読んだとき、渋谷のど真ん中でテロが起こる話を一体どうやって撮影するのかといった部分にすごく興味があって、それを経験してみたいという気持ちが大きかったですね。ゆり子さんもおっしゃっていましたが、世の中が今こういう状況になって、実際にあれだけの大人数のエキストラの方々に集まってもらって撮影することは当分できないだろうなと思うと、本当に貴重な体験でした。

佐藤  今年になっていたらあの規模の撮影はできないもんね。

西島  できないですね。撮影自体も大変だったので、エキストラの皆さんにはただただ感謝しかありません。それだけでなく、なぜ犯人はそうしたのかという謎解きの部分も面白くて、たぶん誰も当てられないんじゃないかな。背景にある人間ドラマも含めて、ノンストップで楽しめる作品だと思います。

MOVIE『 サイレント・トーキョー』

MOVIE『サイレント・トーキョー』

佐藤浩市、石田ゆり子、西島秀俊、中村倫也、広瀬アリス、井之脇海、勝地 涼ら豪華キャストが集結し、クリスマス・イブの東京で突如発生した連続爆破テロ事件と、事件に巻き込まれた人々の群像劇を空前のスケールで描き出す、予測不能のサスペンス・エンターテインメント超大作。原作:秦 建日子『サイレント・トーキョー And so this is Xmas』(河出文庫)、監督:波多野貴文。●公開中

後編]に続く

[MEN’S EX 2021年1・2・3月合併号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)

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