大人の日常生活は、微妙なピンチの連続です。適切な言い訳を繰り出して、自分を守りつつ周囲のストレスを最小限に抑えましょう。
今月のテーマ/リモートで部下をきつ過ぎる口調で責めてしまった・・・・・
打ち合わせは原則リモートという会社も多いでしょう。便利な反面、部下との意思疎通が微妙にうまくいかないという弊害も。イライラが積み重なっていたのか、勘違いで凡ミスをした部下に向かって、モニター越しに「ったく、同じこと何度も言わせるなよ!」と、やや強すぎる口調で注意してしまいました。ちゃんと言い訳をしておかないと、パワハラ上司のレッテルを貼られそうです。
こういう状況で、自分を正当化したくて反射的にやりがちなのが、「キミがこうだから、つい言ってしまった」と、相手の非を強調してさらに責め立てること。何の言い訳にもならないどころか、相手の怒りや落ち込みを増幅させ、周囲には姑息な印象を与えてしまいます。
リモートでの失敗は、リモートの特性を利用してリカバリーするのが効果的。「言い過ぎでした。申し訳ない」と平謝りしつつ、「リモートだとリラックスし過ぎて、つい口調が荒くなっちゃうね」と、さりげなくリモートのせいにして何となく納得してもらいましょう。家族構成によっては「さっきまで子どもを叱ってて、その名残で……」という言い訳も使えます。
深い反省を示すために、無理のある言い訳を繰り出す手も。神妙かつ大真面目な口調で「失言でした。ごめんなさい。こういうのも回線トラブルの一種ってことで」と言えば、相手は意味がよくわからないなりに、腹を立て続けるのがバカバカしくなるでしょう。事態をこじらせないためには、半端なメンツやプライドなんか捨てて、素早く全力で謝ることが大切です。
言い訳の極意
無理は承知しつつ目新しい
ツールのせいにすることで、
許すきっかけを提供する――
それもまた言い訳なり
講師
石原 壮一郎さん
1963年三重県生まれ。日本の大人シーンを牽引するコラムニスト。最新刊は『恥をかかない コミュマスター養成ドリル』(扶桑社)
[MEN’S EX 2020年12月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)