カタログ値に違わぬ走行距離と俊敏なパワーモード
そこで今回、ものは試しに東京から首都高速で横浜へと向かってみた。出発時、メーター内にはEV走行可能距離は40km、ガソリンでの走行可能距離は500kmと表示されていた。約43kmを走って大黒PAに到着。数キロ手前でバッテリー残量が0になりエンジンが始動したが、実際に高速区間のほとんどをEV走行でこなした。またEV走行からエンジンが始動する瞬間というと、突然ブルンと大きな振動が発生し、静けさがかきけされて興ざめすることも少なくないがこの3気筒エンジンにはそれがなかった。振動も音もうまく抑えこまれている。
帰路はエンジンを使って走行し、そのかたわらで積極的に充電を行うチャージモードを選択してみた。走行距離を重ねるごとに少しづつバッテリーの目盛りと走行可能距離の数字が増えていく。首都高速を約40km走行して都内のICを降りる頃には、EV走行可能距離は16kmと表示されていた。さすがにこれで満充電とはいかないものの、さらに走行を重ねればチャージモードで7割程度まで回復することも可能なようだ。16kmもEV走行できれば芝公園にあるボルボのオフィスまではエンジンを始動させることなく、なんなく到着する。
PHEVのいいところは、こうして充電施設がなくてもある程度は充電が可能であり、もちろん主体はガソリンなので長距離も何ら不安なく走行できる点にある。買い物や片道20kmくらいの通勤はEVとして、長距離ドライブの際にはハイブリッドモードで、また高速走行時にチャージしておけば市街地ではEVとして使える。
もっとパワフルに走りたいという人向けにはパワーモードがある。これはエンジンとモーターの出力を最大限活用するもので、アクセルをベタ踏みするとブルドッグのような容姿には似つかわしくない俊敏な加速をみせる。バッテリーはセンタートンネル部分に配置されており、重心低く、乗り心地よく、ハンドリングも良好だった。
すべての人に無条件にオススメとまでは言えないけれど、ライフスタイルにうまくマッチすれば、このPHEV、相当に使い勝手がいいと思う。
文/藤野太一 写真/茂呂幸正 編集/iconic
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