モードのクラシック化、いっそう加速
ここしばらくの間、モードブランドの間では“ストリート”が一大潮流となっていたことはご存じのとおり。オーバーサイズのパーカやレタリング入りのTシャツ、ボリュームのあるスニーカーなどをフィーチャーしたスタイルは大いに刺激的だったものの、コンサバ派にとってみれば少々敷居の高さを感じるものであったことは否めない。が、そんな潮目も今、変化のときを迎えているようだ。
多くのブランドがテーラードアイテムを打ち出し、“モードのクラシック回帰始まる!”と話題を呼んだのが昨年のこと。その流れは今季も継続し、より本格化したように感じられる。“これからの時代こそスーツ&ジャケット”と特集冒頭で宣言したのは、このような流れも踏まえてのことなのだ。
LOUIS VUITTON / ルイ・ヴィトン
今季、とりわけ衝撃的だったのは、ルイ・ヴィトンのファーストルック(左)がクラシックなスーツだったこと。
ラグジュアリー・ストリートの火付け役、ヴァージル・アブローがこれを提案したことは、時代の変化を象徴するかのようだ。
PRADA / プラダ
プラダのコレクションでは、ツイードスーツやワイドラペルのジャケットを用いたルックが魅力的。インナーのニットもトラッドモチーフを思わせる柄で、コンサバ派でも親しめそうだ。
ERMENEGILDO ZEGNA XXX / エルメネジルド ゼニア XXX
エルメネジルド ゼニア XXXのコレクションラインでは、グレーやネイビーなどシックな生地を用いたスーツコレクションが印象的だった。
軽やかな素材使いと、斬新なカッティングやデザイン。このバランスがなんとも同ブランドらしい。
DIOR / ディオール
ディオールでは、フォーマルウェアをイメージさせるルックが興味深い。ジャケットの着丈はやや長めで、パンツも細すぎないのが過去のモードスーツとは一線を画している。
※表示価格は税抜き
[MEN’S EX 2020年10月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)