ハレの場には着物
日本の美しい「和の心」とエンターテインメントとを融合させ、新たなアート表現を続けるプロデューサーの木村英智さん。六本木で手掛けた「スカイアクアリウム」、そして日本橋を拠点にした「アートアクアリウム」では“ジャポニズム”の世界観を表現してきた。そんな日本の伝統美を大事にする木村さんはレセプションや祝い事などハレの場では着物を着るのが習慣だ。
「東海道の起点でもある日本橋は江戸文化の中心。自分自身、日本橋に拠点を移してからは、日本橋の老舗の旦那衆から日本文化について多くのことを学びました。その中で、興味を持ったものの一つが着物でした。着物を着ているとどこに行っても歓迎されます。着物は自分の格を上げてくれると思います。現在は京都にも拠点をもっていますが、伝統を重んじる世界にも受け入れていただけたのは、ちゃんとした着物を着ていたからこそのご縁でした」
数寄が高じて、着る着物は自らデザインを考案し、生地選びから職人の元に通い、一から仕立てるのが流儀。
「四季の移ろいを大切にする日本には二十四節気七十二候という独自の暦がありますが、これをテーマにした72枚の女性の着物、24枚の羽織を製作しました。着物は季節感が大切ですが、例えば桜の時期に桜の着物を着るのは野暮。桜の時期より少し前に桜の柄を着るのが粋なのです。でも上級者になると思いっきり桜の着物を桜の時期に着ることもあります。それは、どんなシーンでどのような柄を纏うのか、伝統文化にまつわるルールや背景を知っているから。節目節目で着物を着ることは、ファッションとしての楽しみもありますが、日本の文化やしきたりなどを学ぶことにもつながるのです」
アートアクアリウム アーティスト
木村英智さん
作家・総合プロデューサー。“アート”“デザイン”“エンターテインメント”と、「アクアリウム」を融合させる「アートアクアリウム」という分野を発案。日本の伝統文化も積極的に発信。
[MEN’S EX2020年10月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)