大人の日常生活は、微妙なピンチの連続です。適切な言い訳を繰り出して、自分を守りつつ周囲のストレスを最小限に抑えましょう。

大切なコレクションを妻が「半分に減らして!」と・・・
長かった「ステイホーム」で、妻が部屋の片づけに目覚めました。それはいいんですが、大量にコレクションしているレトロなオモチャが標的に……。「これ、邪魔だから半分に減らして!」と強く言われてしまいました。そ、そんなことは不可能です。さて、どんな言い訳を繰り出せばいいのか。
集めるまでにどれだけ膨大な時間とお金がかかっているかを説明するのは、たぶん逆効果。その「無駄っぷり」が強調されて、「すぐに全部捨てて足を洗って!」という話になりかねません。「男のロマンが」とか言っても、寝言は寝て言えとしか思われないでしょう。最悪なのは「だったらキミの洋服や靴も」と言い返すこと。人は、痛いところを突かれるとムキになります。大げんかになるのは確実だし、怒りにまかせて知らないあいだに捨てられたら目も当てられません。
ここは情に訴えましょう。まずは、いきなり幼い頃のエピソードを話し始めます。飼っていた子犬が車にひかれてしまったこと、大事な友達が引っ越すときにサヨナラを言えなかったこと……。もちろん、作り話でかまいません。その上で、少しうつむきつつ「このオモチャのひとつひとつが、ぼくにとっては思い出と同じ価値を持っているんだ」と静かに呟きます。やや意味不明ですが、妻としてはこの流れで「いいから捨てろ!」とは言えないはず。
ひるんだ隙に「キミでよかったよ。こういう気持ち、わかってくれるもんね」と畳みかければ、しばらくのあいだはたぶん大丈夫です。
言い訳の極意
しんみりした気分にさせて
相手の気勢を削ぎつつ、
仕上げに持ち上げておく―
それもまた言い訳なり
[MEN’S EX 2020年8月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)