>> この記事の先頭に戻る
ドレスシャツの印象を大きく左右するのが運針の細かさ。細かいほど繊細でエレガントに見えますが、その分細い糸を使って丁寧に縫わなければならず、当然縫製にかける時間も長くなります。
【こっそりヒント】
アームホールの縫いが曲線になっているのはどちらか?
縫製は直線のほうが縫いやすいですが、人体に直線は存在しません。特に腕の動きやすさを決定するアームホールは曲線的な立体構造が必須であり、曲線で縫うには高い縫製技術が不可欠。
【こっそりヒント】
袖が後付けされているかのはどちらか?
運動量の多い腕の付け根は着心地に関わる最重要箇所。そのため、高いシャツは袖を縫ってから肩形状に合わせ前振りにセットしますが、安いものは脇から一気に縫って手間を省いています。
【こっそりヒント】
カフが尻すぼみになっているのはどちらか?
人間の腕は手首に向かって細くなるため、カフを手首にフィットさせるには尻すぼみの形状が理想的。しかしながらそのためには立体的に縫わなければならず、高度な技術が必要となります。
ストライプやチェックなどの柄合わせには、緻密に計算された高い技術に加え、効率を度外視した生地の取り都合が不可欠。剣ボロなどの細部から肩まで合っていれば間違いなく一級品です。
【こっそりヒント】
ボタンやボタンホールが美しいのはどちらか?
ボタン素材が安価なアクリルか高価な白蝶貝かはもちろんのこと、ボタンホールのかがりが丁寧かどうかも見分けのポイントになります。鳥足がけのようにボタンが手づけなら間違いなし。
【こっそりヒント】
サイドが本巻き縫いされているのはどちらか?
縫製のレベルが最もわかりやすいのが身頃のサイド。高いシャツは熟練職人による細い本巻き縫いで縫われていますが、安いシャツは本縫いのみです。耐久性や美しさに圧倒的な差が出ます。
【こっそりヒント】
カラーバンドが気持ち上がっているのはどちらか?
襟を首元へ立体的に沿わせるためには、やや上向きにカーブしているカラーバンドが理想的。これが真っすぐだと縫いやすいですが、襟が浮き立ってきっちりと見えず、着心地も悪くなります。
以上いかがだっただろうか。以下解説を読み、理解を深めよう!
<解説>
店員さんには悪いですが、店頭で畳まれたシャツを広げてみればわかります
高いシャツと安いシャツの違い、それは着心地や耐久性、そして美しさのために、いかに手間を惜しまず時間と技を凝らしたかの違いでもあります。その違いを最も簡単に見分けられるポイントが立体感。
高いシャツは仕立てが立体的なため、畳んだ状態でもふっくらと立体感がありますが、安いものは平板でぺったんこです。わかりにくかったら店頭でも広げてみるべき。そうすれば両者の違いは一目瞭然のはずです。
『オトナの本格スーツ検定』(世界文化社刊)を再構成
関連記事一覧:
Study with M.E.