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北尾吉孝さん

「『澹泊明志』との言葉通り、金銭に対しても淡白でないと志を明らかにし、持続できない」
(北尾さん)

加藤 地頭がいい人は純粋に感化されない感じもしますね。

北尾 仏教で「賢愚一如」という言葉がありますが、天の目から見れば、賢であると自慢している人も愚であると嘆き悲しんでいる人も同じで、どっちもダメなんです。それから「あの人に負けた」とか「あの人は自分よりきれいだ」という相対観で比較することも意味がない。人間はそれぞれ使命を持って生まれたわけで、天命を見出して、それに向かって一生懸命やっていればいい。人と比べるところから不幸が始まるんです。野村証券時代も、わざわざ電話をしてきていくら昇給したかを聞いてくる同期がいましたけど、僕はそんなことは意識したことはないし、上司に対しても礼儀は尽くしますけど、間違っているものは間違っているとはっきり言います。孫 正義さんに呼ばれてソフトバンクに入ったときも、役員会でノーと言うべきだと判断した時は常にノーと言い続けてきましたし、絶対通してはならないと思うことは通さないで来ましたね。

加藤 孫さんと対立することはなかったんですか?

北尾 あるとき孫さんから「役員会ではいつもけちょんけちょんに言うけど、僕とソフトバンクのために言うてくれとるから、ありがたいと思うとるんよ。実際、北やんの言うとおりになっとるからね」と言われたんです。彼の偉いところはそういうところだよね。僕は僕でソフトバンクに入ったことで、金融という世界をインターネットと結び付けて考えることを教えてもらった。これを使って様々なサービスを提供したら、手数料が大幅に下がって世のため人のためになる。何がなんでもやらないといけないなと思いました。

加藤 お互いに得るものが大きかったんですね。

北尾 辞めるときも孫さんに「北やん、退職金はいくら出したらいい?」と聞かれましたけど、「赤字の会社から退職金をもらうつもりはありません」と言いました。『三国志』に出てくる諸葛孔明の言葉で「澹泊明志(たんぱくめいし)」というものがありますけど、金銭に対して淡白でないと自分の志を明らかにすることができない。だから僕はいろいろなところに私財を投じてきました。「SBI子ども希望財団」という公益財団法人を作ってそこにも寄付しています。さらに2007年には、公益財団法人の活動とは別に私的に社会福祉法人慈徳院を設立し、情緒障害児短期治療施設として「こどもの心のケアハウス嵐山学園」を開設し、虐待児の問題に取り組んできました。



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SBIグループは、SBI証券や住信SBIネット銀行、SBI損保など、金融商品や関連するサービス・情報の提供等を行う「金融サービス事業」のほか、国内外のIT、バイオ、環境・エネルギー及び金融関連のベンチャー企業などへの投資等を行う「アセットマネジメント事業」、医薬品・健康食品・化粧品等におけるグローバルな展開を行う「バイオ関連事業」を主要事業と位置づけ、幅広く事業を展開している。

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