アートにまつわる書籍や小物に囲まれて
近現代美術が専門という石坂さんの自宅書斎。まず圧倒されるのが壁を埋め尽くす本。アート専門書、展覧会図録、オークションカタログにアーティストの伝記だ。
「職場の書庫より充実してますよ」と笑う石坂さん。顧客に作品を紹介する際、作品の来歴や展覧会での展示歴、また背景などについて調べるほか、原稿執筆の際の資料としても欠かせない。同時に、アート業界歴30年強の自身の経験と思い出も詰まっている。
「この部屋で愛蔵書に囲まれていると安らぎます。読書を楽しんだり、ときにはカタログをめくりながらボーッとしたり。一見雑多に見えますが、目当ての名作がどこの美術館に収蔵されているのか、本棚のどの書籍を調べれば良いかは、ほぼ瞬時にわかるほど」。
アート関係の本は、厚さも判型もさまざまで重量がある。それを一元化するため選んだのが、建築設計事務所がデザインした本棚「margherita」だ。以前事務所に置いていたものを、組み替えて設置。書斎の中心に置かれた机は祖父から譲り受けたオーダーメイド、それに合わせたチェアは張地を指定した北欧ヴィンテージをセレクト。
「日本の住宅は欧米に比べて天井が低いため、デコラティブなものを合わせると個性が強すぎる気がします。そういう意味で、北欧家具は相性がいいですね」。
そして、机の向かい側の床、椅子に座ったときに目に入る位置には、アート作品が置かれている。ときに応じて入れ替えられ、現在はドイツの巨匠バゼリッツのドローイングが飾られている。
「見れば見るほど良さが伝わってくるのが良い作品。そういったものを紹介していきたい」。その信念がアートを身近にしてくれる。
石坂さんの仕事の相棒
デスク小物
[MEN’S EX 2020年5月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)