ひがし茶屋街で日本酒飲み比べ&帰路の新幹線でもまた、一献

訪れたのは平日だったが、この美しい街並みは人を吸い寄せるのだろう。なかなかの盛況ぶり。和菓子屋を冷やかしたり、九谷焼の店をのぞいたり。上生菓子が有名な予約必須のはしの外観だけ眺めたり、と散策をしていたら、のどが乾いた。

メインストリートにある福光屋まで戻って、「酒かすみるくソフト(みりんシロップ)」をいただく。ふっとメニューを見ると「ブランド別三種飲み比べセット」とあるではないか。つい、頼んでしまった……。


さて、名残惜しいがそろそろ帰る時が来た。最後に金沢駅で新幹線車内のお供を求めてさまよう。土産にぶり巻きを買い求めると、その横で甘エビを昆布締めにした寿司を発見。そうか、今朝、いまいち海鮮の気分にならなかったのはこいつと出逢うためだったのかも。カニもいいが、エビもいい。中医学ではカニは身体を冷やすが、エビは温めてくれるという。冷えた身体にぴったりだ。
そしてこの甘エビに合わせるのは決してビールではない。とはいえ、ハイボールだと刺激が強すぎるし、と考えていたら昨夜チェコ料理に合わせた酒の別バージョン「RICE WINE for WHITE FOODS」を見つけた。こちらも 試しに単体だけで飲んでみると、赤よりも一層、酸味をダイレクトに感じた。だが、寿司を食べてから飲むと、驚くほどふくよかに。まったく感じが変わり、海老のねっとりとした旨みを何倍にもしてくれる。このシリーズはオリジナル酵母の開発から手掛けているという野心溢れる酒。気に入った。食中酒としてこれほどふさわしいものはないのでは?
帰りはかがやき号にしたので、行きより少し乗車時間が短い。きっとこのままひと眠りしたら東京に着く。しかし、金沢は危険な街だ。そこらにうまいものがあり、うまい酒がある。どこを切り取っても絵になる街並みは決して押しつけがましくない。新旧の文化の香りが入り交じり、旅人を心地よく刺激する。ここに長居するといつまでも飲んでしまいそうだ。次は春の桜の頃、桜の酵母で醸した酒を飲みにまた来よう。
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取材・文/藤村 岳