
ほかのセレクトショップと比べると、イタリア物への取り組みにおいてビームスFは後発。元から扱っていたイタリア製品はオリアンやギ・ローバーなど英国的な襟型のシャツくらいだったそうだ。
北イタリアのものをメインに買い付けを始め、次々にイタリアファッションの深層に迫った中村さん。当時の成長のきっかけとなったイタリア製品に、エリーゴ(現 スティレ ラティーノ)、エンツォ ボナフェなどがあった。イタリアンクラシックブームで売れるからと、イタリア製品を扱うショップが増えるなか、売り上げよりも良質な製品を探した結果として、ビームスがイタリア製品との絆を深めた背景は面白い。
でも、いまだ「服地は英国が最高。いまもフォックス ブラザーズなど、英国の服地は好きですよ。英国の服地をイタリアで仕立てるのが一番好み」「英国的なブライドルレザーが好き」と中村さん。


「大切なのは時代性のあるクラシックスタイルをいかに表現するかです。軸はぶらさず、古臭くならず」と中村さん。この言葉からは、クラシックなスタイルと言えど、時代に柔軟に対応する気持ちの大切さが伝わってくる。
撮影/小澤達也(Studio Mug) 取材・文/川田剛史