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「肩が美しく丸みを帯びたラグラン袖にこだわって選んでいます」
(中村さん)

M.E. 大人のためのファッション業界を背負って立つお二人ですが、世代や考え方の違いで、同じアイテムでも捉え方が変わってくるかと思います。お二人の考えの共通点・相違点を通して、大人の装いを研究できればと思い、当連載をスタートしました。これからどうぞよろしくお願いいたします。

中村・西口 こちらこそ!

M.E. ではまず、お二人が初めてバルカラーに触れたのはいつでしたか?

中村 中学一年生のときでしたね。『メンズクラブ』でバルカラーコートが男の定番であるということを知りました。当時はステンカラーと呼ばれていましたね。私は最後のVAN世代で、ファッションの原体験はアイビー。当時VANの定番だったオフホワイトのバルカラーに憧れたものでした。中学の先輩達を真似て、学生服の上に着ていたのをよく覚えています。ちなみに制服のパンツは裾幅を詰めてダブルに上げ、足元はリーガルやハルタのコインローファーというスタイル(笑)。

西口 アイビー少年ですね(笑)。私は20歳くらいでしょうか。当時はデザイナーズものなどを着ていた時期もあり、後追いでクラシックに傾倒していきました。その中で定番のベージュのバルカラーは外せないということで、ユーズドの英国製バーバリー プローサムのものを購入し、愛用していましたね。ちなみに当時は「Y.アカミネ」のコットンジャケットにピンクのBDシャツ、リーバイスに靴はオールデンのミリタリーラストのプレーントウといういわゆる「コテコテのプレッピースタイル」でした。

中村 とはいえ、バルカラーコート=米国というわけでもないんです。’80年代のフレンチトラッドブーム期にもバルカラーは定番で、当時はオールド・イングランドのものをビームスでバイイングしていました。

M.E. パリの老舗ブランドですね。

中村 そうですね。当時は英国製で、パリの名門が英国で作ったバルカラーという背景が洒落て見えたものです。

「3シーズン着用できて汎用性も高い、とても便利なアウターです」
(西口さん)

M.E. 今の視点でバルカラーを選ぶ際、ポイントとなるのはどこですか?

西口 やはりシルエットが第一ですね。今の時代感だと過度に細身なものは避け、ゆったりとしたAラインのものを選ぶのがよいと思います。

中村 袖付けはラグランとセットインがありますが、個人的にはラグランが好きですね。その中でも、肩先が膨らまず丸く落ちるようなラインのものを選んでいます。素材としてはコットンギャバジンが好み。着込んでいったときの風合いがいいですから。

西口 ちなみに今回イチオシとして挙げたオーベルジュは、“究極のベーシック”をテーマに素材・シルエット・ディテールを突き詰めた別注作です。1960年代の英国バルカラーがモチーフで、袖を一枚袖のラグランにしているのもポイント。中村が言う“丸く落ちる肩のライン”がとても美しい逸品です。襟は小ぶりにし、裾周りをたっぷりと取ることで、美しいAラインを描くように設計しました。細部まで凝りに凝っています。このようなコットン素材であれば、春だけでなく秋冬にも着られるので、そう考えるとバルカラーって実は汎用性が高いアウターなんですよね。

中村 そのとおり。トレンチやテーラードコートと比べると、軽やかに羽織れるところも魅力だと思います。本格的なコートを買う際の入門的アイテムとしてもおすすめですので、ぜひワードローブに加えておいていただきたいアイテムといえますね。



※表示価格は税抜き
[MEN’S EX 2020年3月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
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