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インドから相乗りロケットが発射

そんな刺激的な毎日ですが、先日、2019年12月11日(水)18:55にとうとうQPS研究所の小型SAR衛星1号機「イザナギ」がインドの主力ロケットPSLV-C48号に乗って宇宙へ旅立ちました! その日はお天気も良く、ロケットは美しい空に向かって打ち上げられ、衛星は17分後に高度約570kmの軌道に無事に放出されました。

打ち上げ日がインドから発表され(なんと公表がOKになったのは打ち上げのたった6日前!)、打ち上げ、そして衛星の運用まで、わ、わ、わーーーっと言っている間に過ぎ、あっという間でした。

現在は、高度約570kmというはるか遠くの宇宙空間にいる「イザナギ」との交信を日々行ないながら、今年打ち上げ予定の2号機「イザナミ」の製作も同時に進行中で、わたしたちの会社は「もう待ったなし」の状態で進んでいます。

連載「宇宙ベンチャーに転職しました in QPS研究所」
2号機の熱真空試験後。チャンバー(釜)の中で温度差の激しい真空の宇宙の環境を再現して、衛星が耐えられるかどうか試験しています。

ぎりぎりまで公表できなかったロケットの打ち上げ日

今回は、ここ1ヶ月間におきた人工衛星を打ち上げるまでの裏話を書いてみたいと思います。

私たちの衛星はインドのロケットに相乗りさせてもらいました。

不思議なフレーズに聞こえますが、この世界ではよくあることらしく、インドの宇宙研究機関ISRO(インドのJAXAみたいなところ)が主力ロケットPSLVのC48号に自分たちの人工衛星を乗せて打ち上げるので、そのロケットの空いたスペースに私たちの衛星も入れてもらい同じ行き先(高度)で落としてもらうイメージです。

自分達でロケットを購入して宇宙に行くより安く行けるのが一番のメリット。それに、今回のPSLVロケットはISROの50回目のロケット打ち上げ、という記念すべきもので、PSLV自体は実証飛行を含めても失敗はわずか3回のみ、とそれだけ実績がある信頼性の高いロケットなんです。

連載「宇宙ベンチャーに転職しました in QPS研究所」
PSLVは全長44.4mの4段式ロケット。ちなみに、今回はQPS研究所の衛星以外にもイスラエル1機、イタリア1機、アメリカ6機の合計9機の衛星が相乗りしていました。 Photo:ISRO

しかし!そこにはやはりメリットだけではなく、もちろんデメリットも。

まずは、今回のロケットに乗る主役の衛星はインド政府のものなので、ほぼすべてインド側の都合に合わせることに。(当然っちゃ当然のことなんですが。)もともと今年3月の打ち上げ予定でしたので、QPS研究所ではそれに合わせて1年3ヶ月という超超特急で衛星を作り上げ、準備万端で待っていたのですが、インドの都合でどんどん打ち上げの日程が後倒しに。

結果として、3月打ち上げ予定から実際の12月まで実に9ヶ月遅れてようやく打ち上げることができたんです。衛星を人間に例えるなら、空港の搭乗口でずーっと「飛行機まだかな」と待っている状態でしょうか。

これはこの業界では珍しくない「ロケットあるある」らしく、予定通り飛ぶことなんてまずない、と。日程を公表しても遅れることなんてしょっちゅうで、(早くなることもごくたまにあるらしいですが)、打ち上げ当日に天気やロケットの調子でまた遅れることも。出発日時をぎりぎりまで確定できないのがロケットなんです。

また、インド側が公表しなければ、相乗りさせてもらうほうももちろん日程を言うこともできないので、とにかくインドの方角に向かって「早くしてほしい・・・」と祈る毎日でした。

QPS小型SAR衛星の模型「宇宙ベンチャーに転職しました in QPS研究所」
インドへ旅立つ前の「イザナギ」。アンテナは直径3.6mあります。
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