EQC 400 4MATICに試乗する
試乗車は「EQC 400 4MATIC」にスポーティなエクステリアデザインとなるAMGラインを装着した仕様だった。タイヤサイズは21インチにアップされ、フロント235/45R21、リア255/40R21という前後異サイズで、リアタイヤのほうが太くなっている。これは車両後軸側のほうが重量が重いためだと思われるが、まるでスポーツカーのようだ。
インテリアは10.25インチのディスプレイを2つ組みあわせてガラスで覆いダッシュボード中央に配置する、メルセデスの最新デザインを踏襲。デザイン上のEQC専用アイテムは、エアコンの吹き出し口が鍵のかたちをしており、ローズゴールドの配色になっていることくらいだ。
スターターボタンを押して、アクセルを踏めばもちろん無音で動き出す。低負荷領域ではフロントのモーターのみで、さらに加速すれば瞬時にリアのモーターが作動する仕組みになっている。電気自動車の特性として、発進加速は得意とするが、最高速ののびは内燃エンジンには及ばない。このEQCでもカタログ上の最高速度は180km/h。まあ、日本の道で使うぶんには何ら支障はないが。
21インチという大径タイヤを履くだけに、硬い乗り心地や大きなタイヤノイズを想像していたが、見事に裏切られた。約2.5トンという車両重量と、電気自動車ならではの静粛性の高さによってまるでSクラスのようなしっとりとした乗り心地を演出している。
またEVならではの機能として、回生ブレーキをコースティング、低、中、高の4段階で選択できる。設定の変更には、ステアリングに備わるパドルシフトを使うのだが、とても使い勝手がよい。シフトダウンするように変更が可能だ。高であれば最大減速力2.5m/S2を発生するためワンペダルに近いフィーリングが得られるのだが、ダイムラーの方針として、あくまでも停止はドライバーの意思で、ということで完全停止はしない設定になっている。
EQCの開発責任者であるミヒャエル・ケルツ氏は、「乗り心地やステアリングフィール、スポーティさなど、”典型的なメルセデス”を味わうことができます」と話していたが、まさにそうだと感じた。内燃機関がモーターに置き換わろうとも、メルセデスがメルセデスであることは変わらない、ということのようだ。
「EQC 400 4MATIC」ディティールをチェック!(写真9枚)
文/藤野太一 写真/柳田由人 編集/iconic