インテリアをおもしろくする名門ブランドの新作をチェック
古今東西インテリアは、四角い部屋に直線のラインを描く家具を置き、成立してきた。その基本が、いま地殻変動を起こしているという。インテリアスタイリスト窪川勝哉氏の見立てはこうだ。
「ここ数年、”空間に動きを出したい”という時代の気分が、丸いラグや丸いコーヒーテーブルなど、曲線を描く家具の人気を押し上げています。”L字形”のソファの角度が少しずつ緩くなり、今年のミラノサローネではとうとう、ソファに弧を描くデザインのものが出始めました」。
この流れで、ラウンジチェアにも注目が集まっているという。「どの角度から見ても美しいラウンジチェアは、好きな角度で置くことができる数少ない家具のひとつ。斜めに置けば、”空間に動きを出す”ことができます」
“イイ角度”に配置するだけで、インテリア偏差値は上がる。「座るだけでなく、美しい姿形を眺めて暮らす、というのも上級者的愉しみ方ですね」。
360度どの角度から見ても美しい一脚を選べばこそ、洒脱な空間が生まれるのである。
B&B Italia ビー・アンド・ビー イタリア
パブロ
浮遊するような座り心地
魔法の絨毯のように、浮遊感あるレザーシート
一見シンプルな構造に見えるこの椅子の肝は、2層構造になったレザーの座面にある。このデザインにより、座る人の体を包み込み、ゆったりとした座り心地を実現している。座面の浮遊感は軽やかさにも通じていて、全体の直線的なデザインに対し、座面の曲線がエレガントな雰囲気を醸しだす。デザインは、ベルギー人で建築家でもあり、高級ホテルや商業スペースのデザインも手がけるヴィンセント・ヴァン・ドゥイセン。「観葉植物を多めに取り入れた、一見ナチュラルな空間にも実は似合う一脚です」(窪川さん)。
Knoll ノル
KN04
トレンドカラーのトープを採用
モダンファニチャーを象徴するブランドの感性が光る
現在のイタリアデザイン界を牽引する代表的なデザイナー、ピエロ・リッソーニがデザインした「KN Chair」シリーズ。なかでも新作のKN04は、スチールの華奢な脚がエレガントな印象ながらもコンパクトなサイズ感で、日本の住宅にもマッチしやすい。機能的かつシンプルな仕様は、モダンデザインの象徴ともいえるノルらしい一脚だ。「張り地のトープカラーは今年のトレンド。ミッドセンチュリーにインスパイアされたデザインなので、その時代の家具や、スチール脚の家具がある部屋に溶け込むのでは」(窪川さん)。