ファッションディレクター 森岡 弘の「自分デザイン考個学」 Vol.10
ビジネスにおける装いとは、相手に自分の人となりを知らせるコミュニケーションツール。職種や立場で変わる相応しい装いとは? 森岡 弘さんと考察する。
話したのはこの3人

ファッションディレクター 森岡 弘さん
弊誌のビジネススタイルのご意見番。雑誌や広告のほか、政財界人のパーソナルスタイリングも手掛ける。
三菱UFJ信託銀行
【上司】
営業第3本部 不動産営業第3部長 堀米 毅さん(50)
【部下】
営業第3本部 不動産営業第3部
第2課 調査役 梨本拓也さん(36)
紺無地スーツの選びと着こなし-上司編-

中学時代から柔道を続けているという堀米さんは、がっしりした体格が印象的。普段は、イージーオーダーのスーツでないとサイズが合わないそう。「せっかくスーツが似合う体型をされているので、無理にシェイプの効いたものを合わせるのではなく、ゆとりがありつつもシャープに見えるシルエット選びがポイントになってくるでしょう」(森岡さん)
堀米さんの質問
「ビジネスカジュアル」の中で好適なスーツの装いを知りたい
上司の貫禄に英国スーツ
森岡さん(以下敬称略) 今回も、前回に続き、仕事時のドレスコードが「ビジネスカジュアル」になった三菱UFJ 信託銀行にお邪魔しています。今回は上司である堀米さんと仕事時の装いを考えます。普段はどんな装いですか?
堀米さん(以下敬称略) ほぼ今日のような、スーツでタイを外した状態です。スーツは紺やグレーが多いですね。何をどうカジュアルにしたらいいのか、正直なところいまひとつわかりません(苦笑)。
森岡 わかりました。「ビジネスカジュアル」といっても、無理してカジュアルにしなくてもいいのです。むしろ、堀米さんの場合、肩書きのあるお立場を踏まえて風格を表すべきときも多いでしょうし、カジュアルでいい日でも、お手本となる品格が求められますよね。色々鑑みて、今日はあえて「紺無地スーツ」を提案します。
堀米 紺無地スーツは、私も普段から着ることが多いですね。
森岡 基本的なものの1つですが、「単なる」ベーシックなもの、と考えないでください。意識の仕方で、実は着る人をもっとも効果的に見せてくれるアイテムですから。それに、堀米さんは長年柔道をなさっているとのことで、胸、肩回りもしっかり厚みがあり、まさにスーツが映える体型。今回はそこを生かしながら、役職に見合ったスーツの提案をしましょう。着ていただくのはスリーピースです。
堀米 スリーピースは初めてです……。着てみると背筋がシャンと伸びる感じがしますね。
森岡 今回は英国ブランドを選びました。肩のパッドが厚めに入っているのでショルダーラインがより高くキープされ、厚みのある堀米さんの体型をもっとシャープに胸を張ったようなシルエットに。お立場に合った、堂々とした雰囲気を演出してくれる一着です。重心が上にくるので、スタイルアップ効果や小顔効果も期待できます。
堀米 ベストも特徴的ですね。
森岡さんの答え
タイドアップでできるビジネスカジュアルもありますよ