ゴルフ嫌いが実践したい「普通のゴルフルック」とは?

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綿谷寛画伯のコンサバお洒落歳時記

ただ流行を追いかけるだけでなく、1年を通して季節の旬なアイテムや行事の楽しみ方を知っている。そんな男性こそ真に成熟した、紳士といえるだろう。粋な趣味人を目指すため、四季で味わいたいモノ・コトを季題に取りあげた、お洒落の歳時記を画伯が紹介する。

秋のリネンスーツ

絵と文・綿谷 寛

30代の頃はゴルフ関連の仕事が多く、ホント沢山のゴルフ専門誌や技術書にイラストを描いてきた。改めてそれらの本をおさらいのつもりでパラパラ見たけど、ゴルフ知らなくてもちゃんと描けてんだよね。感心した。

今月のお題 ゴルフルック

趣味なんて何がきっかけで始まるかわからないものだ。

例えば30代に夢中になった狩猟。あれは縁あってたまたま飼った子犬が鳥猟犬だったのがきっかけだ。そして40代で入れ込んだキャバクラ(趣味か!?)。これは小誌のルポ連載で占い教室に行ってにわかに手相を習い、その帰り道、駅前のお店でキャバ嬢相手に習った手相を実践&似顔絵もサービスしたところ、これがバカ受け。以来暫く通ってはみたもののその割にはいい思いはしなかった(涙)。そして今、オーセンチックバーめぐりと葉巻、パイプが細やかな楽しみだけれど、最近もう1つ楽しみが加わった。それはゴルフ……。

実は、まさか61にもなって自分がゴルフに興味を持つだなんて夢にも思わなかった。何せゴルフは嫌いなスポーツだったのだから。

ゴルフが嫌いな理由の1つとして、あの派手なゴルフ専用ウエアが苦手。女のコのゴルフウエアはまだ可愛いと思うけど、男性用はどれ1つとしてカッコいいだなんて思ったことがない。それと2つめの嫌いな理由として、ゴルフ=接待や仕事上の営業的お付き合いといったイメージだ。趣味は趣味。遊びなのだから年齢、性別、職業、肩書きなど、一切関係ないお付き合いがしたい。とまあ、そんな理由からゴルフは敬遠していたのだが、とはいえ、ゴルフ関連のイラストの依頼は多く、これまでゴルフ専門月刊誌の表紙や技術書など、数多く手がけてきた関係で、30年前に一度だけやってみようかと買ったクラブセットは今も未使用のまま物置の奥で埃をかぶったまま眠っている。

そんなボクをゴルフに目覚めさせたのは、銀座の馴染みのバーのバーテンダーSさんだ。

「画伯ってゴルフやるの? この秋、うち主催のコンペがあるんだけれど、よかったら一緒にどう?」と。聞けば、Sさんは最近ゴルフを始めたばかりでコースは未経験だという。それでもシラフならもちろん即答で辞退するところだが、葉巻とブランデーで気が大きくなっていたのだろうか。勢い「Sさんが初めてならオレでもできそうだ。よし! 参加する」となったのである。

ゴルフルック

普通でカッコいい!
目指すは殿堂プレイヤールック

さて、威勢のいいことを言ってはみたもののクラブの握り方すら知らないのにコンペまでどう計画を立てたらいいだろうか……。元々ゴルフは好きじゃないんだから無闇にお金はかけたくない。限られた小遣いの中でこれまでどおりバーも通いたいし葉巻も嗜みたい。となるとクラブは30年前のパーシモンのドライバーで決まり。進化した最新の飛ぶクラブは一切見ない(笑)。ウエアはどうするか。ゴルフ専用のモノは嫌いなのだから街着を流用するか。となるとコンサバ男子が参考にするのは’60〜70年代のアーノルド・パーマーやジャック・ニクラス、ゲーリー・プレイヤーなど、往年の名選手。いやはやこの時代のゴルフウエアは当たりのポロシャツにカーディガン、スラックスと普通でカッコいいね〜? どうせゴルフは下手なんだから派手な色柄やロゴの付いた服で悪目立ちする必要なし。

それより、何よりも一番の問題はゴルフだ。とりあえず駅前のゴルフレッスンスクールに事情を説明したら、2ヵ月後にコースに出れるよう仕上げてくれると約束してくれた。マジ? よし本気だ!



[MEN’S EX 2019年9月号の記事を再構成]

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