そこに、至高の王道あり。
「贔屓」。中国の故事にまつわる語源がある。一旦その出自は置いておくとして、自分が常時愛用し信頼できる店があるかを問うてみたい。店に入った瞬間に「〇〇さま、いらっしゃいませ」と声掛けされるか否か。あるいは決まった席に案内されるかどうか、など。決して常連ぶるのではなく、自分をよく知ってもらっていることで得られる、心地よさがあることが、”贔屓”の醍醐味だ。例えば理髪店。完全に無防備な状態で横たわり、ハサミと剃刀に身を委ねるのだから、信頼なくしては成立しない。
地元に信用できるすし屋を持つこともまた然り。都会の名店もいいが、ふらりと顔を出せば自分の好みを熟知し満足させてくれる店こそ、自分専用の名店と呼べる。こうした贔屓の店を見つけるためには、これはと思った店に足繁く通うこと(それは同時に店側にもあなたを評価する自由があると心得るべきだが)。自分だけのルールではない、その場のルールを会得し溶け込んでこそ初めて、店から”ご贔屓さん”と認定されるのだろう。ちなみに贔屓の語源は、重い荷を背負うという意味から転じて、特定の人を助けるために力を入れるという意味に。なるほど、そこに大切なポイントが読み取れる。
Barber shop
自分の容姿をゆだねられる理髪店

銀座、中央通りに面したアルフレッド ダンヒル 銀座本店。バーバーが併設され、ファッションにとどまらず英国紳士のライフスタイルをカバーする。スーツから休日服まで上質な装いを整えたら、仕上げに肌艶やヘアスタイルをチェックしに。「ヴェルグレイヴィア」コース(カット、シャンプー、ミストシェービング、モイスチャーパック、肩マッサージ、髪セット)60分7000円他、メニューが選べる。
dunhill BARBER
住所:東京都中央区銀座2-6-7 2階
TEL:03-6263-2528
※表示価格は税抜き
[MEN’S EX 2019年7・8月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)