成熟した男性を目指すならそれ相応の装い術や嗜みの作法を身につけておきたいものだ。古今の映画に精通する綿谷画伯が印象に残った、映画のワンシーンから切り取りそれらを解説する。
今月のお題 アメリカ東部の気取らない日常
絵と文・綿谷 寛
近ごろの20代若手編集者に思うこと。お仕事の依頼も催促もすべてメールで処理しようとするのね。絶対に電話で直接会話をしようとしない。なるべくコミュケーションを避けたいのかな?ボクも絵を描くのに夢中で、いつもPCを開いてるわけじゃないから、いくらメールを送ったってメールで返事しないからね(笑)。そこいくと本誌担当のHくんはこまめに電話やLINEをしてくる、20代では珍しくおしゃべり大好き編集者。きっと人に対する好奇心が旺盛なんだろうね。おしゃれも昭和だけど、編集者体質も昭和。いつか彼が令和の時代の編集長になることを期待してるんだ。
汚れても気にしないそれがUSAの豊かさ!?
「うあっ、伊勢エビですか?(笑) 可愛いお財布ですね?」
レストランやカフェで、お会計の際に出すと決まって女性店員さんにウケるのが愛用のロブスター柄の財布。伊勢エビではない(笑)。
ブルーのギンガムチェック地の中央に真っ赤なロブスターをあしらったこのエンブロイダリーウォレットはブルックス ブラザーズ製。このロブスターは全米一の名産地であるメイン州の顔として、古くからアイビーリーガーやプレッピーに親しまれてきたキャラクターだ。他にも、マサチューセッツ州にあるケープコッドの沖合いに浮かぶナンタケット島は、17世紀から18世紀にわたり世界屈指の捕鯨基地(現在は東海岸屈指の高級避暑地)だったことから、クジラをモチーフにしたアイテムが有名だ。ロブスターもクジラもアメリカ東海岸をイメージするモチーフとして様々なアイテムに使われてきた。
日本では派手すぎて売れないのか、シアサッカーやコーデュロイ地にロブスターやクジラの刺繍をあしらったエンブロイダリーパンツをあまり見かけないが、ボクはこういうドメスティックでコテコテなアイビーアイテムに目がないんですね。もしも宝くじでも当てたらエンブロイダリーアイテムのショップを開きたいくらい好き。