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「やりたい仕事」病が蔓延する社会的背景とは…

 このように配属された部署の仕事が「自分が希望するものと違う」「やりたい仕事と違う」と言って、新人がいきなり異動を迫るというのは、かつてはあり得ないことだった。だが、最近は多くの職場で見られる現象になっている。

 その背景には、欧米流に職種で採用する外資系の影響もあるが、ニート数の高止まりや若者の早期離職などの問題に対処するため、学生時代に受けてきたキャリア教育の影響が何よりも大きい。

 2011年に大学設置基準が改定され、すべての大学がキャリア教育を授業でやることが義務づけられた。そのキャリア教育で行われているのが、「好きなこと探し」「やりたいこと探し」だ。

 私が相手にしている学生たちも、キャリア教育の授業で、「やりたい仕事」を見つけよう、「好きなこと」を仕事につなげようなどと言われ、毎週のように「やりたいこと探し」、「好きなこと探し」をやらされているという。

 いくら探しても、自分が好きなのはサッカーしかないし、やりたいこともサッカーだし、それが仕事に結びつく気がしないという学生もいれば、好きなことで暮らしていける人なんてごく一握りしかいないし、自分はもっと堅実に就職先を探したいという学生もいる。

 このようにキャリア教育の「好きなこと探し」、「やりたいこと探し」に冷めた目を向ける学生もいるものの、多くの学生はそうした教育の影響を受け、必死になって「好きなこと」「やりたいこと」を探し、それを仕事に結びつけようとしている。

 それをもとに就活を行い、採用面接でも、「ウチに就職したら、どんな仕事をしたいですか?」などと尋ねられる。それは企業側も周知のことのはずだ。

 そうした想定問答のために、自分の「やりたい仕事」についてあれこれ考えておかねばならない。こうして「やりたい仕事」へのこだわりが強化されていくわけである。

 ところが、いざその会社に入ってみると、採用面接で答えた「やりたい仕事」とまったく関係ない部署に配属される。そこで、会社から裏切られたような気持ちになるのはいうまでもない。

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