
とここまでが4世代目までの事情だ。では、今回、日本で復活となった5世代目RAV4が、日本専用ボディサイズに戻したのかといえば、そんなことはなかった。ずばり、RAV4が国内で復活したのはトヨタSUVラインナップの強化にある。ちょうどRAV4のような立ち位置のモデルが抜けているのだ。5世代目で、RAV4が戻ってきた理由はそこにあり、それゆえに課せられた命題もまた多い。
昨年のニューヨーク国際オートショーで姿を現した最新型は、北米市場だけではなく、日本を含めてさらにグローバルに展開されるモデルとして発表され、日本でのデビューも今年の春と予告されていた。しかしこれまでと違うのは、ただ売れればいい、つまり、多くの人に受け入れられる仕立てにするのではなく、クルマとして、SUVとしてのキャラクターを明快にし、多くの人を魅了するモデルへと進化させたことだ。


懸念だったはずのボディサイズは、全長4610mm、全幅1855mm、全高1685mm。デザインはSUVに求められる力強さをダイレクトにデザインし、キャビンスペースもクラストップレベルであり、ゆとりを感じるリアシート、奥行きのあるラゲッジスペースなど、まさにライバルを凌駕するスペック、装備ばかり。

パワーユニットは、2.0Lガソリンと、2.5Lガソリンエンジンを組み合わせたハイブリッドを用意し、いずれにも2WDと4WDを設定する。その中でも、ガソリンユニット向けに採用されたダイナミックトルクベクタリングAWDは、このクラスのモデルが持ち合わせていない、RAV4アドバンテージそのもの。トルク配分を前後だけではなく後輪左右でも独立して行うトルクベクタリング機構、後輪へのトルクが不要な時にはトルク伝達を行わないディスコネクト機構から構成され、理想のラインを安定したまま走れる上に、燃費性能も期待できるという優れたシステムだ。
その走りは、かつてのRAV4を彷彿とさせながら、まったく別物と感じさせるものだった。「かつて」を感じたのはアクティブといわんばかりの元気の良さだ。アクセルを踏み込むとストレスを感じさせぬままにクルマを前進させ、気持ちのいい加速へと誘う。試乗して強く感じたのは、とにかくハンドリングがいいこと、そして、19インチという大径タイヤを組み合わせているにもかかわらず、乗り心地がすこぶるいいこと。タイヤサイズが起因したコトンコトンとした乗り味は存在するが、凹凸を越える際に、ゴトンとか、ドタンといった不快感を覚えさせるようなことは皆無だった。
そのしなやかなサスペンションは走れば走るほどに感心を覚えた。タイヤが路面をしっかりとトレースしていく、つまり路面追従性に長けていることに驚いた。その味は輸入車の多くに感じられるようなフィーリングであり、国産モデルのRAV4でそれを体感できるとは驚きだった。