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サステナ

HMIについては室内幅いっぱいまで使ったワイドなディスプレイでアピールする。縦型よりも視認性に優れ、表示面積も確保できるのが、そのメリットだそうだ。そして、AIの活用によりコネクティビティ機能も充実させるといった具合である。

こうしたコンセプト、そして実際の車両から見て取れるのは、確かにエンジン車の置き換えではなく、特有のプレミアム感をもったクルマとして考えられていることだ。向いているのはいわゆるアーリーアダプターと呼ばれる層だろう。言い換えれば価格や存在感、そして航続距離など様々な面で、普及車種として考えられているわけではないということだ。

「(エンジン車よりは)高いというよりは、良いモノを買ったという満足感を得られるクルマにしたいと考えました。販売やPRの仕方についても、今までのホンダとは異なる新しいブランドイメージを打ち出していく必要があると考えています。」

開発コンセプトは非常に明確。シティコミューターとしては魅力的だが、筆者個人にとっては現状の200kmプラスアルファの航続距離では、リアルな選択肢とはなりにくい。基本的に、自宅に充電設備があり、毎日それほど距離を乗らない人がターゲットなのだろう。週末に遠出をと考えると必ず出先での充電が必要となるはずで、1台所有用には厳しい。

ドイツではセカンドカー需要は小さくないかもしれないが、日本の大都市で2台所有を前提にするのは難しいだろう。それだけに実際には大都市というよりその周縁の2台持ち層がメインターゲットになりそうだが、そうだとすると良いモノ感より経済性の方が重要になるはずで……。

それだけに、挙げられていたデザイン、走り、その他の所有体験がどれだけ特別なものになっているかが、大きなキーとなりそう。また、今後の主にバッテリーの進化によるクルマ自体の発展性も興味が湧くところだ。但し、発表はジュネーヴ、しかもヨーロッパのメディアには先に詳細まで見せていたほどだし、プレス向け試乗会もまずはヨーロッパでのみ行なうということだから、そもそも日本市場はそこまで重視していないのかもしれない。

とは言え販売は欧州と、そして日本のみの予定。年内には試せる、乗れることを期待したい。



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文/島下泰久 Yasuhisa Shimashita

サステナ主宰
モータージャーナリスト
2017-2018日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

1972年神奈川県生まれ。燃料電池自動車や電気自動車などの先進環境技術、そして自動運転技術を中心に、走行性能、ブランド論までクルマを取り巻くあらゆる事象をカバー。自動車専門、ライフスタイル系などのwebメディアをはじめ、専門誌、一般誌、ファッション誌などの雑誌に精力的に寄稿している。また並行して講演活動、テレビ、ラジオなどへの出演も行なう。
海外モーターショー取材、海外メーカー国際試乗会へも頻繁に参加しており、年間渡航回数は20回を超える。 2011年6月発行の2011年版より、徳大寺有恒氏との共著として「間違いだらけのクルマ選び」の執筆に加わる。2016年版より単独での執筆になり今に至る。
最新刊は「2019年版 間違いだらけのクルマ選び」。
2016年にサステナをオープン。主筆として一般自動車専門誌、webサイトとは違った角度から、未来のクルマと社会を考察中。

サステナ(SUSTAINA)とは?

まっすぐおもう、未来のコト。 モータージャーナリスト島下泰久氏が主宰を務める、「クルマが目指す未来」を主軸に先進環境技術やそれを取り巻く社会の変化など、あらゆる事象を追うウェブメディア。

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