
「〜ねばならない」「〜するべし」とかつてのトラッド世代は口うるさく言われてきた。だが時代は移り変わるもの。いつまでも過去のルールを墨守するだけで良いのだろうか?
まずおさらいしよう
スタンダードとは品格ある装いの”指針”であることを
最も一般的な社会的正装ゆえ、様々なルールがあるスーツの装い。だがそこに、自分らしい装いの余地はないのだろうか。そのルールはどこまで遵守すべきか。「時代の洒落者たちは、ルールを知った上でそこに自分なりのアレンジを加えてきました。よりエレガントに見せるために靴でハズシたり、ジャケットのボタンの掛けかたを変えてみたり。最初は邪道に見えても、よりよく見せようという工夫はその人のスタイルを表すものとなり、新しい表現方法として定着するのです」と語るのは服飾評論家 黒部和夫さん。型、つまりスタンダードを知った上で変化球的な自分の見せ方を考えられるかが、トラッドを進化させる鍵となる。