日本人の”仕事観”を語れる最旬シューメーカーに注目
緻密で丁寧な作り、徹底した開発研究、上質かつ機能的でバランス良い物作りなど国内本格靴には日本人の仕事が表れている。今季注目の靴ブランドからその仕事観を学びたい。
CALMANTHOLOGY / カルマンソロジー
ショップバイヤー最注目のオーセンティック靴の新星誕生
「日本人ならではのバランス感覚に拘りました」
ディレクター兼デザイナー 金子 真さん
国内の靴ブランドで長年デザイナーを務めてきた金子氏により昨年末から展開。日本ならではの綿密さを備えた点が特徴で、そのひとつがステッチ。
「30番手の糸で30mm間に17〜19針縫うピッチは既製靴の限界といえます。派手な主張ではなく、糸という細部の妙で上質さを訴えました。ヒールには高反発のゴムソールに加え、積み上げに特殊低反発素材を挟むことで安定性と衝撃吸収性を両立させました」(金子さん)。
侘び寂びをもってして、上質かつ実用性も備える。控え目だが品性を大事にする日本のビジネスマンの相棒となるだろう。全てグッドイヤー製法。
クラシック顔ながら実用性も追求
鮮やかなブルーで彩られた、半カラス仕上げとヒドゥンチャネル。つま先には真鍮製のオリジナルトウスチールを前もって装着することで、購入後のひと手間を省く心配りが。
GUIlD OFCRAFTS / ギルド・オブ・クラフツ
国内ビスポークの先駆けが満を持して既製ラインを初展開
「足により自然なフォルムを再発見」
デザイナー 山口千尋さん
国内ビスポーク靴シーンを牽引してきた山口氏。初の既製靴を手掛けたのは、今のドレス靴において、足の構造と見栄えの齟齬が蔓延することへの懸念からだ。氏は20年間で蓄積した足型データを解析し、実際の足の中心線に近いラストセンターを追求し開発。
「小指や甲のストレス、踵のブレの解消を美しいフォルムと両立させ、既製ラストで陥りがちな実測とのミスマッチを解消しました」(山口さん)。
黒ストレートチップの1モデルを、アンダーEウィズのNarrow Fitting(右)と、2EよりゆったりしたComfortFitting(左)の2フィットで展開。シューツリー付き。全てグッドイヤー製法。
サイドが立ち上がるビスポーク的な佇まい
サイドを立ち上げることで、屈曲時に小指へと掛かる負担を軽減。フィットは、快適性を重視したコンフォート型と、快適性を保ちながらもタイトなナロウ型の2種類を用意する。
[MEN’S EX2018年02月号の記事を再構成]
撮影/平井敬治、宇田川 淳、植野 淳、村上 健、岡田ナツ子、武蔵俊介、久保田彩子 スタイリング/武内雅英(CODE) ヘアメイク/勝間亮平(MASCULIN) 構成・文/POW-DER 文/竹石安宏、吉田 巌(十万馬力)、山田純貴、安岡将文、間中美希子、秦 大輔 撮影協力/モルテーニ東京