SIHH取材 DAY 4
誰もが息を呑む完成度の高さ
ケースデザインをリファインした、パルミジャーニ・フルリエのトノー・モデル「カルパ」が、2018年コレクションの主役だ。
なかでも「カルパ クロノール」と名付けられた黒文字盤のモデルは、ポリッシュされた18Kローズゴールドケースとのコントラストがゴージャスな雰囲気を醸し出していた。
カルパのケース形状に合わせた、自社製のクロノグラフムーブメントのブリッジを、骨組みを残し刳り貫き、22Kローズゴールドのローターに合わせた金色に仕上げている。
このモデルは50ピースのみの限定生産だが、同時に発表された、「カルパグラフ クロノメーター」のほうは、普通仕上げのムーブメントを与えられたもので、エレクトロニックブルーの文字盤が、ローズゴールドのケースと鮮やかな印象を与えてくれる。
どちらの時計も、スイスのクロノメーター検定COSC(コスク)の認定を受け、高精度を保証してくれる頼もしいタイムピースだ。
またミシェル・パルミジャーニが1998年に設計し、彼の腕時計のデビュー作として、その名を知らしめた、8日巻きロング・パワーリザーブのムーブメント、キャリバーPF110を用いた「エブドマデール」も、コレクションに加わる。
昨年は「トリック」という、ベゼルのローレット模様をほどこした、これも自社初期の代表作をリファインした時計を復活させた、パルミジャーニ・フルリエは、ジュネーブ時計グランプリにおいて、その「トリック エミスフェール レトログラード」という時計で、トラベルタイムのカテゴリーの賞を、また「トンダ クロノール アニヴェルセール」という時計で、クロノグラフのカテゴリーの賞の、二冠に輝くという快挙を成し遂げた。
自然を愛し、黄金律などの原理を尊びながら、時計造りに邁進してきた、ミシェル・パルミジャーニという時計師の真価が、いよいよ認められる時代が到来したのだ。
Profile
松山 猛 Takeshi Matsuyama
1946年京都生まれ。作家、作詞家、編集者。MEN’S EX本誌創刊以前の1980年代からスイス機械式時計のもの作りに注目し、取材、評論を続ける。SIHHは初回から欠かさず取材を重ね、今年で28回目。
撮影/岸田克法 文/松山 猛