時計王・松山 猛のウォッチ・インタビュー/
レイモンド・ウェイルCEO エリー・ベルンハイム氏

エリー・ベルンハイム(ELIE BERNHEIM)
レイモンド・ウェイル3代目CEO。1980年生まれ。権威あるエコール・オテル・ド・ローザンヌを卒業後、2006年に入社。1996年、父親であるオリビエ・ベルンハイム氏が社長兼CEOに就任。2014年4月より自身がCEOに就任。受け継がれるブランドアイデンティティをしっかりと守る一方、SNSでのコミュニケーションを強化するなど、新しい時代のブランドのあり方に常に挑戦している。
松山 猛(まつやま たけし)
1946年、京都生まれ。作家、作詞家、編集者にして、機械式時計をはじめカメラ、中国茶器、ファッションなどを深く愛する希代の趣味人。『帰って来たヨッパライ』『イムジン河』『タイムマシンにおねがい』など数多くの名曲の作詞を手がける。著書には、映画『パッチギ!』(監督/井筒和幸)の原作となった『少年Mのイムジン河』(木楽舎)のほか、『ワーズワースの庭で』(扶桑社文庫)、『松山猛の時計王』(世界文化社)など多数。
レイモンド・ウェイル社の3代目CEO、エリー・ベルンハイム氏が、同社の新しい時計コレクションを携えて来日した。
興味深い事にそのそれぞれのモデルには、音楽にちなんだテーマがあり、永遠のロックスター、デヴィッド・ボウイの名を冠したモデルや、ギブソン社の名ギター「レス・ポール」の名を持つモデルもある。よほどの音楽好きなのかと聞いてみたら、ベルンハイム家は音楽を愛する一家であり、彼もプロのピアニストである母親から、3歳の時から英才教育を受けたのだという。
祖父のレイモンド・ウェイルが立ち上げ成功させてきたジュネーブ時計のこのブランドは、昔からクラッシック音楽の世界をサポートし、マーケティングに取り入れ、著名な音楽家や、世界的コンサートホールとのパートナーシップに、熱心に取り組んできたのだという。その時代には、オペラの名作である『オテロ』や『パーシバル』『フィデリオ』などのモデルネームを持つ時計を送りだした。
「そして二代目の父から会社を引き継いだ私は、自分の時代にふさわしい音楽を、新しいミッションのテーマにしたいと思ったのです。まず門戸を開いてくれたのが、世界中の人が愛しているビートルズ、そしてフランク・シナトラ。デヴィッド・ボウイには2年前、彼のファウンデーションにコンタクトし、奥様から許可をいただいたのです。これからもモダーンな音楽やコンテンポラリーなものを、テーマにしていきたいと思っています」

新作「フリーランサー」では、ムーブメントも自社で設計し、セリタ社に委託して生産してもらう形で、オリジナル・ムーブメントを完成させた。伝統にのっとりながら、堅実で使い良い時計造りを、これからも目指すと、若きCEOは決意を語ってくれたのだ。
いまレイモンド・ウェイルの時計を扱う店は、アメリカには約600店舗、英国には約400店舗あるという。そして新しく日本のパートナーとなったGMインターナショナルは、上陸から5ヶ月という短期間に60店舗での扱いが始まり、今後のさらなる広がりに期待していると、ベルンハイム氏は語った。
本社のあるジュネーブと、最大のマーケットであるアメリカのニューヨークの2ヶ所に住まいを持ち、往復しながら暮らしているのだという。
「アメリカでは今、Eコマースが発達してきて、時計の売り方も変化の時代を迎えているのです。ニューヨークはビジネス的にとても重要な拠点ですからね」
若き3代目CEOの活躍に、今後も注目して見ようと思った。
レイモンド・ウェイルの注目時計4選(写真12枚)
お問い合わせ先
GMインターナショナル
TEL:03-5828-9080
レイモンド・ウェイル http://raymond-weil.jp/
撮影〈人物〉/久保田彩子 取材・文/松山 猛
※表示価格は税抜き