成熟した男性を目指すならそれ相応の装い術や嗜みの作法を身につけておきたいものだ。古今の映画に精通する綿谷画伯が印象に残った、映画のワンシーンから切り取りそれらを解説する。
絵と文・綿谷 寛
今月のお題 アイビールック再見
今なら泣ける悲恋物語のドレスコードマニュアル
ここ数年、再びアイビーが注目されてからというもの、ボクの元にも「アイビールックの男性を描いてくれという依頼をときどき頂くが、過日、30代男性編集者氏との打ち合わせ中にこんなやりとりがあった。
「一言でアイビーといっても、今の若者にはよくわからないと思うのですよ。そもそもその始まりがアメリカのアイビーリーグだということも。なので画伯にアイビーリーグ8大学の分布図を描いて頂きたいんです」と、編集者氏はボクの目の前で北米全土のラフスケッチを描きながら「こんな感じで」と、チョンチョンと8大学の印を付けて見せた。
「おいおい、ちょっと待ってよ。アイビーリーグ8大学は北東部に位置するんだぞ。これじゃ全米各地に散らばってるみたいじゃない」とボク。
「え?っ、そうなんですか?」 アイビーを説明しようという編集者氏でこんな調子だから、今の若者が知らないのは当然である。もっとも今の30代は昔のアイビーブームの実体験がない世代だし、今のアイビーリーグ8大学に我々がイメージするアイビールックの大学生など一人もいないのだから。