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全身から音を立てて冷や汗が吹き出てくる状況ですが、ここでひるんだら負け。修復不可能な深い溝ができてしまうでしょう。かくなる上は、あえて火中の栗を拾いに行くしかありません。

「おお、ちょうど今、お前の話をしてたんだよ」

笑顔でそう話しかけます。

Aが、ストレートに「顔がデカくて悪かったな」と反撃してくるか、「へえ、そうなんだ」とトボけるか、そこは気にせず、楽しそうな口調で説明を展開します。

「出世する人って顔がデカイよねって話になって、ウチの課で顔がデカイっていったら誰だろう、やっぱりAだなってことになったんだよ。イヨッ、出世頭!」

Aは「顔がデカイっていったらA」のくだりは聞いていたかもしれませんが、そこに至るまでの話は聞いていなかった可能性が大。聞かれた部分から逆算して、軽い悪口を全力のホメ言葉に転換してしまいましょう。強引な力技ですが、それがこの状況におけるベストの言い訳です。

もしかして、Aがそもそも何も聞いていなかったとしても、とくに問題はありません。出世するタイプと言われて、ちょっとテレながらニンマリするだけです。

ほかの同僚たちも、「えっ、そんな話してないよね」なんて余計なことは言わずに、黙ってうなづいてくれるはず。ともにピンチを切り抜けたことで、本当の連帯感が生まれそうです。それもこれも言い訳のおかげですね。


言い訳の極意

コソコソ逃げ出すのではなく、正面から立ち向かうことで活路が拓ける——。
言い訳は、時に勇気の素晴らしさを教えてくれる。




[MEN’S EX 2018年7月号の記事を再構成]
イラスト/千野エー

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