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誰よりもフットワークの軽いリーダーとして

「誰よりもフットワークの軽いリーダーのあり方は、元トップアスリートの長官ならではですね」
(加藤さん)

鈴木自分の目で見て初めてわかったことや、足で稼いだ結果として感じた問題点、思わぬアイデアを生かした役所仕事をしないといけないと思っています。われわれは国の機関なわけなので、スポーツを軸に日本全体の未来を考えたいんです。そういう意味で東京オリンピック・パラリンピックも、日本全体の大会にしなければならないと思っています。例えば各国の選手には、日本各地の事前キャンプ地で「事後キャンプ」もやっていただいて、オリンピック後に再訪してもらう。事前キャンプでは選手もピリピリしていますけど、日本にある程度逗留したら、みんな好きになっちゃうんじゃないかと思うんですよ。人々や食べ物、神社仏閣、自然の景勝地…どんどん地方に行ってもらって、「日本、いいわ」って世界中で言いふらしてもらえたら(笑)。

加藤スポーツが観光ともリンクしてくるお話ですね。

鈴木そこの部分は、まさにスポーツ庁と文化庁と観光庁の三庁連携で取り組んでいて、お互いがリンクしていけば、日本はもっと面白くなるし、伸びると思います。

加藤アイデアが尽きない、長官の感性も素晴らしいと思います。

鈴木選手にとっても感性って大事なんです。本を読んだり、映画を観たり、音楽を聴いたり、いろいろな人に会ったり、トレーニングを頑張るためのネタをどんどん探してエネルギー源をつくっていかないと、もたない。

加藤ところで現在、長官自身はどんなスポーツを?

鈴木朝早く起きられるときはジョギングとかウォーキングをして、難しいときは13階にあるスポーツ庁まで階段で上がるようにしています。1日8000歩くらい歩くと大抵の生活習慣病は防げると言われていて、スポーツ庁の官民連携プロジェクトとして始めた「FUN + WALK PROJECT」(前編参照)なんかは、それこそ国民医療費抑制に貢献できると考えて始めました。ニューヨークの女性の間ではスニーカーで徒歩出勤して会社に着いたらパンプスに履き替えて、というのが定着しているし、ひと泳ぎ、ひと走り、ひと運動して、ジムの近くのヘアサロンで髪をセットしてから出社すると聞きます。

加藤私も早起きして、ちょっと軽く走りに行きたいなって思うこともあるんですが、「すごい顔をして走ってた」みたいなことを言われるのもちょっと…(笑)

鈴木むしろ親近感が湧いて、ますますファンが増えますよ(笑)。

加藤そういうものですか(笑)。

鈴木水泳という選択肢もありますよ。1964年の東京オリンピックのときに水泳会場のサブプールだった、国が持っている代々木のオリンピックプールがあって、何時から営業してるのかを聞いたところ「10時です」と。「遅い!朝5時からにして」と言ったんだけど「さすがに勘弁してください」と言われたので、朝7時営業開始に変えたら、わんさか人が来てます。(※現在は耐震改修のため営業休止中)

加藤隅々まで目を配らせた仕事ぶりは、全方位治療的ですね!

鈴木とはいえマンパワーは増えないから、大変です(苦笑)。他にも今度うちの職員が結婚するって言うんで、どうやって出会ったのかを聞いてみたら「スポーツのサークルなんです」と。そんなこともヒントになって、食べログならぬ「スポログ」的なプラットフォームをつくろうと話し合っています。どこに行けばどのスポーツができて、今近くで空いている体育館はどこか、ちょっとスポーツをしたいときどこで何をすればいいかがすぐに分かるようなものを。それこそスポーツ婚活にも活用いただける(笑)。

加藤共通の趣味を持った者同士、意気投合も早そうですね(笑)。それでは、最後に長官が今でも「スポーツをやってきてよかった」と思われる瞬間があれば、教えて ください。

鈴木仲間であり、絆であり、一体感かな。世界中にいるスポーツを通じた友達が財産です。たまに彼らと飲むと、毎回同じような昔話になっても、楽しいもの(笑)。

カトMEMO

  • 改革にあたってはまずはアイデア出しが重要。そしてその際、大切にするのは感性だ。
  • 常に周囲に対して笑顔を絶やさず、組織の中で応援してくれる味方を作る。
  • 現場に出ていって自分の肌で感じれば、説得力のある行動ができる。

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