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初めてのカルチャーショックはハーフパンツ

また、9歳〜12歳の間、アメリカで過ごした際、鏡さんの印象に残っているのがハーフパンツにまつわるエピソードだ。

「のび太君のようなすごく短い半ズボンを穿いていたら、『ホットパンツみたいだ』と、学校ですごく馬鹿にされて恥ずかしい思いをしました。現地ではバミューダが普通。そのとき、洋服はインターナショナルに通用するものでなくちゃダメなんだと気づいたんです」。

家に戻り、すぐに鏡さんは親にバミューダパンツを買ってほしいとお願いする。しかし、お父さんは「男が洋服にこだわるんじゃない」と古風な方だったために買ってもらうことができなかった。

「仕方がないので、夏場でも長ズボンをはくようになりました(笑)」。

幼い頃の日本橋三越本店 紳士オーダーバイヤー 鏡 陽介さん
3〜4歳ごろ、スイス・マッターホルンでの一枚。大人になってから「子どもなのにパンツにクリースが、キッチリ入っている!」と周囲で話題になったとか。

日本の同級生の装いにビックリ

海外生活を終えて、鏡さんが帰国したのは小学校6年生のはじめのこと。帰国翌日には、昔の小学校の仲間が誘いに来てくれた。うれしさとともに、驚いたのは友達のファッションだ。みな、シャツをタックインしてジーンズを穿いているではないか。しかも髪型は、当時、多くの若者に影響を与えたトレンディ俳優風のスタイル。

「みんな、ませていました。私もすぐに感化されてしまって」と鏡さんは笑う。

帰国後は、おじいちゃんとおばあちゃんも同居していたので洋服を買ってもらうことができた。アーガイルのニット、ダンガリーシャツ、ジーンズ、ヴァンズのスニーカーなど、子どもながらに当時選んだ洋服の記憶は鮮明だ。

日本橋三越本店 紳士オーダーバイヤー 鏡 陽介さん

思春期はアメカジ、ストリートファッションに夢中に

中学校に進学すると、お年玉やお小遣いをためては洋服を揃えることに夢中になっていく鏡さん。

「ミスターチルドレンがデビューしたころで、とてもかっこいいと思っていましたね。この時代、流行し始めたエヴィスジーンズのほか、ドクターマーチンのブーツがものすごく欲しかった。Tシャツは無地でもいいけれど、ジーンズはエヴィスにしたいわけです。ほかにベアー USAのダウンジャケットを誕生日に買ってもらったのも覚えています」。

さらに高校時代は、人気ドラマの俳優たちが更に大きな影響を与えていた。鏡さんも某ドラマの影響を受けた一人で、幅広にロールアップしたデニムにエンジニアブーツを合わせるなどしていた。

「高校1年、2年のとき、粗野で不良っぽい感じに憧れて真似をしましたね。でも、次第にそれが自分のキャラじゃないと気づいて」。

ともにクロムハーツのリング。奥様と付き合い始めた記念日に購入したもの。2002年に右を購入し、翌年にシンプルな左のものを買い足した。

ともにクロムハーツのリング。奥様と付き合い始めた記念日に購入したもの。2002年に右を購入し、翌年にシンプルな左のものを買い足した。

ブライトリング スーパーオーシャン クロノグラフは結納返しとして贈られたもの。奥様が鏡さんに似合うものを選んでくれたこともあって、お気に入りの一品だ。

ブライトリング スーパーオーシャン クロノグラフは結納返しとして贈られたもの。奥様が鏡さんに似合うものを選んでくれたこともあって、お気に入りの一品だ。

左は某セレクトショップで購入した市松のバングル。普段は入浴でも外さずつけっぱなしにしている。結婚指輪(右)は奥様の希望でe.m.にオーダーメイドした。注文の際、鏡さんはお気に入りのバングル風に表面を叩いた仕上げにしてもらったのだ。

左は某セレクトショップで購入した市松のバングル。普段は入浴でも外さずつけっぱなしにしている。結婚指輪(右)は奥様の希望でe.m.にオーダーメイドした。注文の際、鏡さんはお気に入りのバングル風に表面を叩いた仕上げにしてもらったのだ。

代官山のアクセサリーショップで買ったもので、特にブランド名はなかった。と、思ったら、こちらを手掛けた職人が、のちに、ブランドを興し、鏡さんはMEN’S EXとの企画「10マスター、10テーラー」で同席することに。その場で「あれ? そのバングルは……。僕が作ったものですよ!」と、相手に教えられて驚いたそう。知名度に左右されず、いいものを見抜く力はさすが名バイヤーである。

代官山のアクセサリーショップで買ったもので、特にブランド名はなかった。と、思ったら、こちらを手掛けた職人が、のちに、ブランドを興し、鏡さんはMEN’S EXとの企画「10マスター、10テーラー」で同席することに。その場で「あれ? そのバングルは……。僕が作ったものですよ!」と、相手に教えられて驚いたそう。知名度に左右されず、いいものを見抜く力はさすが名バイヤーである。

レザー小物3点はすべてファーロ。「価格が適正で作りがいい」と鏡さん。長財布(上)は、日本円+海外通貨2種類のほか、パスポートも収まり、出張で手放せない。両研磨のファスナーなど丁寧なつくりも魅力だ。財布を持ち歩くのが好きではないため、普段は蛇腹のミニウォレット(左下)に小銭、交通系カード、ID、カードキーなどを収納している。カードケース(右下)は蛇腹で中に仕切りがないのが特徴。カードを収める際、レザーの折り目ごとに、すぐに必要な名刺とそうでないものを分けられて機能的だという。

レザー小物3点はすべてファーロ。「価格が適正で作りがいい」と鏡さん。長財布(上)は、日本円+海外通貨2種類のほか、パスポートも収まり、出張で手放せない。両研磨のファスナーなど丁寧なつくりも魅力だ。財布を持ち歩くのが好きではないため、普段は蛇腹のミニウォレット(左下)に小銭、交通系カード、ID、カードキーなどを収納している。カードケース(右下)は蛇腹で中に仕切りがないのが特徴。カードを収める際、レザーの折り目ごとに、すぐに必要な名刺とそうでないものを分けられて機能的だという。

手帳はミラノのヴァレクストラで購入したカバーに、中身はクオバディスを愛用。(左から)ペンはデルタ、ファーバーカステル、モンブラン、シェーファー。「店頭でお客様にお使いいただく場合に備え、ペンは2本必要。デジタル製品は電池が切れると、仕事ができなくなります。だから、スケジュール管理は紙が基本。出張でスケジュールが詰まっていると、充電をしているヒマなんてありません」。

手帳はミラノのヴァレクストラで購入したカバーに、中身はクオバディスを愛用。(左から)ペンはデルタ、ファーバーカステル、モンブラン、シェーファー。「店頭でお客様にお使いいただく場合に備え、ペンは2本必要。デジタル製品は電池が切れると、仕事ができなくなります。だから、スケジュール管理は紙が基本。出張でスケジュールが詰まっていると、充電をしているヒマなんてありません」。

「某クラシックなセレクトショップや人気のインポーターのショールームに漂う香りが好きで、生活の中でも非日常を感じたい」と最近は、サンタ マリア ノヴェッラの香水をつけているそう。

「某クラシックなセレクトショップや人気のインポーターのショールームに漂う香りが好きで、生活の中でも非日常を感じたい」と最近は、サンタ マリア ノヴェッラの香水をつけているそう。

ジャケット/オラツィオ ルチアーノ、シャツ/サンニーノ、パンツ/プリンツィ ペデレガンツァ、タイ/ノーブランド、チーフ/ブルックス ブラザーズ、メガネ/オリバー ピープルズ、シューズ/オールデン(すべて私物)。

ジャケット/オラツィオ ルチアーノ、シャツ/サンニーノ、パンツ/プリンツィ ペデレガンツァ、タイ/ノーブランド、チーフ/ブルックス ブラザーズ、メガネ/オリバー ピープルズ、シューズ/オールデン(すべて私物)。

ジャケットを持ち上げると、ディ アミコのキーチェーンがキラリ。

ジャケットを持ち上げると、ディ アミコのキーチェーンがキラリ。

オールデンのローファーはスエードで、リラックスした雰囲気に。

オールデンのローファーはスエードで、リラックスした雰囲気に。

クラシックな太めのアイウェアはすっかり、鏡さんのキャラクターの一部になっている。取材の日は、黒のオリバーピープルズを着用していた。

クラシックな太めのアイウェアはすっかり、鏡さんのキャラクターの一部になっている。取材の日は、黒のオリバーピープルズを着用していた。

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