ニック・フーケのお洒落ハット【松山 猛の道楽道 #011】

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道楽道 ロサンゼルスの巻

松山 猛の道楽道(どうらくどう)

ヴェニス・ビーチに程近い、リンカーン・ブルバード沿いに、アメリカで今、最も素敵な帽子を作る男、ニック・フーケ(Nick Fouquet)のブティック兼工房がある。
これまでの帽子の常識にとらわれないデザインや色彩を駆使した彼の帽子のことを知ったのは、帽子好きの人々が集う、”フェドラ・ラウンジ”というウェブサイトを見ていた時で、なるほどこんな遊び心にあふれた、帽子があるのかと思わされたからだった。

わざと汚したようなウェザリング加工を施したり、普通は使わないような配色のリボンをあしらったり、とにかくその発想が自由奔放なのである。
最近はそのインパクトのあるデザインに着目したのだろう、イタリアの帽子界の老舗であるボルサリーノ社が、彼とコラボレーションしたシリーズを販売し始めた。

松山 猛の道楽道(どうらくどう)

ロサンゼルス滞在のある日、クルマをヴェニス・ビーチに走らせ、調べておいた住所に到着すると、まだ表の門が閉まっている。そこで電話をしてみたら、店が開くのは12時からとのことだったが、遠来の客だと思ってくれたのか、まだ開店30分前だったのに招き入れてくれたのだった。

小さな庭のある表の門が開かれ、木造の店の入り口を入ると、そこはショウルームで、様々な素材やデザインのハットが、ディスプレイされていた。
ニック・フーケは、ぼさぼさのロングヘアーにスカーフを巻き、その上に帽子をかぶって登場した。そこで来意を告げ、日本の雑誌ウェブメディアに紹介したいというと、そいつはクールだと即座に取材を受けてくれた。

本人もなかなかの男前ぶりで、大学を出てから世界旅行に出て、ニューヨークやコロラドなどに住んだあと、七年前にここカリフォルニアに移り住んで、ハット・ショップを開いたという。
たちまち彼の帽子は評判を呼び、今ではハリウッドのセレブリティたちがこの店の顧客の中心だそうだ。

松山 猛の道楽道(どうらくどう)

ふと棚を見ると、たくさんの顧客の頭形の木片が積まれていた。これは靴のラスト(木型)に相当するもので、ぴったりとした帽子作りには欠かせぬものらしい。 その中にはアンジェリーナ・ジョリーの名前もあり、彼女もここでハットを注文しているそうだ。
本来なら僕もパナマの一つでも注文すべきところだったが、今回はまず下見というところで、様々なデザインのハットを見せてもらうにとどめた。この次に行くときは必ず自分好みのハットを注文するつもりだ。

DATA

Nick Fouquet
853 Lincoln Boulevard Venice, CA 90291
https://www.nickfouquet.com/

松山 猛 Takeshi Matsuyama

1946年京都生まれ。作家、作詞家、編集者。MEN’S EX本誌創刊以前の1980年代からスイス機械式時計のもの作りに注目し、取材、評論を続ける。

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