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加藤 綾子さん

大きな組織にいるときと今とでは、考え方が随分と変わりました
(加藤さん)

加藤私は会社員時代、周囲の目を気にして、自分を抑えていた部分もありました。でも、フリーになってから、意見を求められたときにきれいごとばかり言っていても見抜かれてしまうな、と。それで最近やっと「私は私、自分を信じよう」と思えるようになって、ドラマ(日曜劇場『ブラックペアン』)にも挑戦してみようと思いました。そういう意味で大きな組織にいるときと今とでは、考え方が随分変わりました。

森岡「郷に入れば郷に従え」という考え方が日本人には染み付いていますが、それは必ずしも正しくないと私は思っています。加藤さんにはすでに社会の皆さんが評価してきた強みがある。だから、新しいことにチャレンジするにしても、誰よりも自分で自分の強みを理解して、それを踏まえたやり方を丁寧に通すべきだと思いますね。

加藤「丁寧に通す」って、素敵な言葉ですね。

森岡相手への敬意だけは忘れず、丁寧な言葉遣いで、にこにこしながら、「私がこれをこうやりたいんです」と、加藤さんのやり方で通す。一度勝ちパターンに入ると、やってきたことの一直線上だけでなくても、強みが生きる場所がたくさん出てくるはずです。

加藤森岡さんの言葉はどれも大きな励みになります。

森岡逆にやり方が不明な人は強みを生かした勝ちパターンをもう一度体系立てないとだめです。

加藤私は音大の教育学科で声楽を学びましたが、音楽の世界はどうしても自己表現が大事なので、学生時代まではなんでもズバッと言うタイプでした。でも大きな会社に入って、チームで番組をやっていくために「オーケストラ的なやり方」を勉強できたことも、自分の強みになっているのかなと思います。

森岡一方で、今現在の加藤さんのようにソロとしての一人一人の価値や値打ちというのも、各々が思っている以上に大きい。人はみんなどうせ死ぬのだから、生きているうちに「一人でも世の中の変化の起点になれる」という前向きな気持ちを持って1日を組み立てる人が増えれば、日本全体がもっとよくなる。会社の規模にかかわらず、それができるのがプロなんだと思います。

加藤最後に「これだけは言っておきたい」というビジネスのヒントを、ぜひ教えてください!

森岡理解がある上司や部下にめぐり合えるなんてほとんど奇跡で、そもそも他人はコントロールできません。かろうじてコントロールできるのは自分だけです。だから、うまくいかないときも「会社が」と飲み屋でくだを巻くんじゃなくて、未熟な自分に矢印を立てて「どうすれば説得できるか」を考える。「自分が」が主語である人なら、失敗から学び続けて、必ず成功できると思います。


カトMEMO

  • 自分がこうだ!と思ったやり方は、相手に敬意を払いながら”丁寧に”通す。
  • やり方を通すためのリスクも考えておく。
  • 矢印を常に自分に向ける。
  • 正義感が人を引き付ける。
  • 仲間として協力したくなる人間力。

スペシャルフォトギャラリー

[MEN’S EX 2018年7月号の記事を再構成]
撮影/前 康輔 スタイリング/後藤仁子 ヘアメイク/金子友美(山田かつら) 文/岡田有加(edit81) 撮影協力/ホテル雅叙園東京

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