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初めてのスニーカーを履いてから40年、保管状況に気を遣っていたわけではないのに、スニーカーたちは、一般的に言われている寿命をはるかに超え、長生きしてくれていた。それだけでなく、足を滑り込ませたとき、忘れかけていた当時の記憶を呼び起こしてくれたことが、何よりも嬉しかった。

高価なブランド品が良い物なのではない。良い素材を使い、良い作りをし、長く使い続けることができる品を作り出す。それが、良いブランドなのである。使い続けることにより、その物には自然とストーリーが宿る。そして時が経ち、その商品が記憶のカギとなり、心のアルバムを開いてくれる。より飽食の時代になった今だからこそ、原点に立ちかえり、真に見る目を持たなければならない……と、長生きのスニーカーたちが教えてくれた様な気がする。

足を滑り込ませた時、あのときのスニーカーが記憶のカギとなり、心のアルバムを開いてくれた。
良い素材を使った、良い作りの物を、長く使い続ければ、自然とストーリーが宿る。

中井貴一さん
外苑前の銀杏並木を歩く中井さん。この靴が、30年以上前に買ったアディダスのスニーカーとは、誰が想像できようか。タリアトーレのチェスターコートを羽織った”今”なスタイルに合わせてもまったく違和感がないのは、それが時代を超えて”生きて”いる本物だからこそなのだ。

[MEN’S EX 2018年2月号の記事を再構成]
題字・文/中井貴一 撮影/熊澤 透、若林武志 ヘアメイク/藤井俊二 構成/まつあみ 靖

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