開発担当のeDrive@VANs、ベンジャミン・ケーラー氏は言う。「プラグインハイブリッドにしなかったのは、それではVクラスのもっとも強く支持されているポイントであるユーティリティ性能に妥協を強いることになるからです。」
おかげで使い勝手はVクラスとまったく変わらない。今回のコンセプトカーでは8人乗りとされていたが、たとえば後部座席を独立した4座で構成してVIP送迎用にすることも、7人乗りにすることも、もちろん広大な荷室として使うことも自由自在だ。
走りの面でも同様で、パワフルな電気モーターにより最高出力は160km/hと十分以上。航続距離は400kmで、急速充電機能を使えば100km走行分の充電に、約15分しか要しない。前出のケーラー氏によれば「重心高が低くロールは小さいですし、即座にトルクが出るので走りは気持ち良いですよ。しかも静かで滑らかですから。」とのことである。
メルセデス・ベンツはこのコンセプトEQVの市販版を、9月に開催されるフランクフルトモーターショーで発表するとしている。大都市内での物流や、送迎などの商用にも、あるいはレジャー用途の個人用としても、注目を集めるのは間違いない。
関連記事:家族構成別にオススメ! 200万?500万円台で見つける、SUVより『今買い』のクルマとは?
文/島下泰久 Yasuhisa Shimashita
サステナ主宰
モータージャーナリスト
2017-2018日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
1972年神奈川県生まれ。燃料電池自動車や電気自動車などの先進環境技術、そして自動運転技術を中心に、走行性能、ブランド論までクルマを取り巻くあらゆる事象をカバー。自動車専門、ライフスタイル系などのwebメディアをはじめ、専門誌、一般誌、ファッション誌などの雑誌に精力的に寄稿している。また並行して講演活動、テレビ、ラジオなどへの出演も行なう。
海外モーターショー取材、海外メーカー国際試乗会へも頻繁に参加しており、年間渡航回数は20回を超える。 2011年6月発行の2011年版より、徳大寺有恒氏との共著として「間違いだらけのクルマ選び」の執筆に加わる。2016年版より単独での執筆になり今に至る。
最新刊は「2019年版 間違いだらけのクルマ選び」。
2016年にサステナをオープン。主筆として一般自動車専門誌、webサイトとは違った角度から、未来のクルマと社会を考察中。
サステナ(SUSTAINA)とは?
まっすぐおもう、未来のコト。 モータージャーナリスト島下泰久氏が主宰を務める、「クルマが目指す未来」を主軸に先進環境技術やそれを取り巻く社会の変化など、あらゆる事象を追うウェブメディア。