メルセデス・ベンツ Cクラス ステーションワゴン
トップランナーの驚くべき進化(写真3枚)
これまで3台の”外し”を解説したが、スポーツセダンの時と同様、締めは王道のステーションワゴンを選んでみた。
王道だから「ドイツ御三家」というわけではないが、今最も注目するのがメルセデス・ベンツCクラスのステーションワゴンだ。
現行Cクラスは2014年から日本で販売を開始しているが、これまでクリーンディーゼルだけでなく、プラグインハイブリッドなどを市場に投入するなど常に新しい提案を打ち出してきた。そのCクラスの新型が7月25日に日本で発売された。
新型とはいえ、いわゆるビッグマイナーチェンジなのだが、そのレベルがもはやフルモデルチェンジ並みなのは先代でも証明済み。今回の新型でも約6500カ所を更新したというから驚きである。
エクステリアでは前後バンパーの造形変更はもちろん、新たにE&Sクラス並みのマルチビームLEDヘッドライトを設定。インテリアでは10.25インチのワイドディスプレイや12.3インチのCクラス専用コックピットディスプレイを搭載。インフォテイメント領域でも高い先進性を提案している。
そして何よりも驚かされるのが新しいパワートレーンの採用だ。とくに1.5リッター直4ターボエンジンは、BSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)と呼ばれる一種のモーターに新しい48V電気システムを組み合わせることで極めて高い効率とスムーズな加速を実現しているという。
人気のクリーンディーゼルも大幅な改良を施すことで高出力化と同時に環境性能の向上や振動、騒音も低減している。
さらに将来の自動運転時代に先駆け、新型Sクラスに搭載済みの「インテリジェントドライブ」と同等のシステムを設定。ドライバーがウインカーを点滅させた際に車両が行き先の車線の状態を確認して自動で車線変更を行う「アクティブレーンチェンジアシスト」はまさに未来を身近に感じられる先進技術である。
ここまでは新しいCクラスの解説になってしまったが、ラゲージ容量は470リットルと、ステーションワゴンとして平均的な数値。ただ欧州車の例にならって40:20:40の分割可倒式リアシートやシート可倒時のフラットフロアを採用したほか、ラゲッジ両端に突起物が少ないスクエア構造によって使い勝手は見た目以上に良好だ。
ステーションワゴンだけでもパワートレーンやグレードなど選択肢が多いのがCクラスの特徴。その点でもこのセグメントでNo.1というのも納得できる、まさに王道モデルなのである。
文/高山正寛 編集/iconic