メリットが多い2WD
マツダCX-5 XD L Package(19インチ仕様)を例に挙げると、まず、車両重量は2WD/4WD(以下同)で1620/1680kgと2WDが60kg軽くなり、走りに軽快感を与えている。軽くなった分、燃費性能にも有利でWLTCモード燃費ではリッター17.4/16.6kmでリッター0.8kmの違いがある。価格においてはスタンダードクラス以上の乗用車ベースのSUVが採用しているオンディマンド式4WDシステム(普段はフロント駆動でフロントタイヤがグリップを失うと即時にリアへと駆動を配分する)が高価ゆえに、その価格は329万9400/352万6200円で、なんと22万6800円の差となっている。この価格差は、ほかのブランドのモデルでもほぼ同じと考えていい。
というように、メリットばかりが際立つ2WDだが、それだけに止まらない。最低地上高がある分、悪路走破性、とくにスノードライブにおいてはFF車+αと考えてもいい。つまり、わざわざ雪を求めて冬山へ出掛けるのでなければ、また、河原や林道といったラフロードに足を踏み入れる機会がほとんどないなら、そう街乗り主体なら2WDで十分なのだ。
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日本では4WDが圧倒的人気
ちなみにヘビーデューティモデルは、すべて4WDだと思われるかもしれないが、実はアメリカでは2WDモデルが存在している(最近は少なくなってきたが)。これは、オフロードやスノードライブする機会が少ないからという合理的な理由でクルマを選ぶお国柄ゆえのことで、少し前まではジープ・ラングラーにも2WDモデルが存在していたほどだ。
そうそう、実は国内のヘビーデューティモデルにも2WDがラインナップされていたことをご存知だろうか。トヨタ・ハイラックサーフの3〜4世代目に設定された2WD(FR)は、4WDモデルそのままのスタイルを採用したグレードのほか、タイヤ径を小さくしてスポーティなテイストを与えた「スポーツランナー」を展開。さらに、なんとジムニーにも、キュート(!)な面持ちを与えられた2WD(FR)の特別仕様車「J2」が存在していた。ともに販売は芳しくなく、日本においてヘビーデューティモデルに求められているのは、やはり4WDであることを実証する結果となってしまった。
個人的には、現行型ジムニーにはそのスタイルが気に入ってユーザーになる人向けに、2WDがあってもいいと思うのだが……。
文/吉田直志 編集/iconic
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