マクラーレンが2025年までに全車種をハイブリッド化

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マクラーレン・オートモーティブが、2025年までのビジネスプラン「Track25」を発表した。そこに描かれた新製品開発、製造、テクノロジーに関するロードマップの中で、もっとも注目すべきはやはりプロダクトの話題だ。彼らは今後7年の間に、つまり会社設立15周年となる2025年までに、すべてのモデルをハイブリッド化する。

現在スポーツシリーズ、スーパーシリーズを擁するそのラインナップに於いて採用されるものとして「拡張ドライブ・テクノロジー」の採用が検討されており、また「バッテリーのみで30分以上のサーキット走行を可能にする軽量で急速充電が可能なハイパワー・バッテリー・システム」の開発が行なわれているというのがマクラーレンの声明だ。そのうち前者の「拡張ドライブ・テクノロジー」の内容はまだ判然としないが、後者も相当に意欲的な内容であることは間違いない。

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現状ではバッテリーのみで30分以上のサーキット走行というのは、非現実的とすら言っていい。市販EVでサーキットを走行した場合、2周目ですでにパワーダウンを感じるくらいが当たり前なのだ。マクラーレンのマシンに相応しいパワーを発生し、それを長時間維持でき、軽く搭載性に優れ、急速充電も可能なバッテリーが、果たしてどのようなものになるのかは、興味が尽きない。

ちなみにフェラーリは、今後おそらく電動スーパーチャージャーを広く採用してくるはずである。ハイブリッドシステムによって減速エネルギーを回生するが、その電力でモーター駆動するのではなく、コンプレッサーを駆動するのだ。排気エネルギーが少ない低回転域でも過給ラグ一切無しに、速やかな加速を実現でき、内燃エンジンなので当然、ドライビングフィールは今まで慣れ親しんできたものの延長線上にあるこのシステムはスポーツカーとの親和性、相当高いはず。対抗するマクラーレンのハイブリッドが、一体どんなテイストを実現することになるのかは、こちらも興味深いところである。

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マクラーレンは、上に述べたもののほかに軽量化推進のための新技術開発、そして製造のためのマクラーレン・コンポジット・テクノロジー・センターの開設、P1の後継車たる新しいハイパーカーの開発、ワイヤレスアップデート技術等々のイノベーティブな内容を含むこの「Track25」に、12億ポンドもの投資を行なうという。それまでに派生モデルを含む18のニューモデルを投入し、2020年代半ばには年間約6千台の生産規模を誇るようになると謳う。この台数は現在の実に4倍である。

実に意欲的な計画。その進捗を楽しみにしたい。

文/島下泰久 Yasuhisa Shimashita

サステナ主宰
モータージャーナリスト
2017-2018日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

1972年神奈川県生まれ。燃料電池自動車や電気自動車などの先進環境技術、そして自動運転技術を中心に、走行性能、ブランド論までクルマを取り巻くあらゆる事象をカバー。自動車専門、ライフスタイル系などのwebメディアをはじめ、専門誌、一般誌、ファッション誌などの雑誌に精力的に寄稿している。また並行して講演活動、テレビ、ラジオなどへの出演も行なう。
海外モーターショー取材、海外メーカー国際試乗会へも頻繁に参加しており、年間渡航回数は20回を超える。 2011年6月発行の2011年版より、徳大寺有恒氏との共著として「間違いだらけのクルマ選び」の執筆に加わる。2016年版より単独での執筆になり今に至る。最新刊は「2018年版 間違いだらけのクルマ選び」。
2016年にサステナをオープン。主筆として一般自動車専門誌、webサイトとは違った角度から、未来のクルマと社会を考察中。

サステナ(SUSTAINA)とは?

まっすぐおもう、未来のコト。 モータージャーナリスト島下泰久氏が主宰を務める、「クルマが目指す未来」を主軸に先進環境技術やそれを取り巻く社会の変化など、あらゆる事象を追うウェブメディア。

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